時代が後から追いついた? 中古車市場でいまホンダ「エレメント」が人気!
2003年4月に日本国内で販売をスタートしたクロスオーバーSUVモデルのエレメント。もともとアメリカ市場の若いユーザーをターゲットにして開発された車種であったが、日本ではそのコンセプトが理解されなかったのか、わずか2年半ほどでラインアップから姿を消すことになった不遇のモデルだった。
そんなエレメントであるが、誕生からおよそ20年が経過した現在、密かな人気車種となっている。状態の良い個体ともなると車両本体価格で200万円を超えるものも珍しくないのである(ちなみに新車時の価格は270万円ほど)。ではなぜいま、エレメントが再注目されているのか? 車両の概要を振り返りながら考察してみたい。
ビーチのライフガードステーションがエレメントのモチーフ
前述したようにエレメントはアメリカにあるホンダの現地法人によって企画されたモデルであり、当時の“Y世代”(アメリカで1980年代序盤から1990年代中盤までに生まれた世代)と呼ばれる20代のユーザーをターゲットにしていた。
デザインモチーフとなったのは、ビーチにあるライフセーバーが詰めるライフガードステーション。ドアにはステーションの出入り口をイメージした観音開きスタイルが採用されていたほか、10フィートのサーフボードを積めることを前提とした全長など、マリンスポーツを代表とするアウトドアレジャーを楽しむユーザーを想定した作りとなっていた。そのためフロアやシートには防水処理がなされていたのだが、大きく開く観音開きドアも相まって、愛犬家からも高い評価を集めたモデルだった。
クラッディングの採用で無骨なスタイルを演出
そんなエレメントのエクステリアは個性的で、バンパーだけではなくフェンダーやルーフの一部などにも無塗装樹脂パーツ(クラッディング)が使われており、ポップかつ無骨なイメージを作り出していた。
当時の日本では、結果的にそれが安っぽく映ってしまったのか、販売が低調に終わった一因とも言われている。しかし20年が経過した現在は空前のクロスオーバーSUVブームとなっており、すっかり無骨なスタイルも市民権を得た。
またアウトドアレジャーも人気となったことで、観音開きドアや防水処理がなされた内装、10フィートのサーフボードが積載可能なユーティリティなどがバシッとハマり、隠れた人気車種となったということなのだろう。
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当時では大柄と言われたボディサイズも今では一般的なクロスオーバーSUVと大差ないものとなっており、奇抜と言われたデザインも個性的と受け止められるようになってきたということで、ようやく時代がエレメントに追いついてきたというのが実際のところと言えそうだ。