ドレスアップで個性を主張するなら「色」は大事
雑誌「オートファッション・インプ」ではスタイルアップカーコンテストの審査員として、また取材スタッフとして多くのユーザーカーを見させてもらった。そこで感じたカラーコーディネイトのあんなことやこんなことを、自分なりに分析してみた。なお、カスタマイズやドレスアップの楽しみ方は千差万別なので、ひとつの意見として読んでいただきたい。
色使いのひと工夫はクルマを自分流にモディファイするにあたって、計り知れない効果があるのは紛れもない事実。ではあるが、正解が定まっていないということも、これまた事実。オーナーが満足してさえいればそれが正解ではあるのだが、個人的には惹かれるものや、そうでないものがある。そこで自分なりのチェックポイントを話してみたいと思う。
レアなボディカラーはそれだけで武器になる
まず目を引くのは「変な色」だ。なにそれって思う人も多いと思うが、要は純正で設定されているボディカラーの中での不人気色のこと。肌色だったり、鶯色だったり、土留色だったり、色自体は個性的で味わいがあるのに、無難な白や黒の陰に隠れてしまいがちな色。これを活用しない手はない。
そんな不人気色のクルマならば、ホイールを換えて車高を落とすだけで、同じ手法を施した一般的なボディカラーのクルマよりも間違いなくインパクトは格上。色を味方につけた好例だ。
ワンポイントの「差し色」がイメチェンに効果的
カラーコーディネイトには手軽で効果的な手法として「差し色」がある。ボディカラーに新たに色を加えることだ。ベースのカラーが不人気色でも人気色でも共通して覚えていてほしいのが、配色を3色以内に抑えること。こうするとすこぶるまとめやすい。もちろん4色、5色と加えていくことは駄目ではないが、色彩が増えると整えるのが非常に大変。ハイレベルというわけだ。
この3色には個人的に独自の定義があって、タイヤやモール、あるいはワイパーなどで使われている黒、ホイールやマフラーなど金属パーツに使われているシルバー、そしてレンズ類などの白、といったある意味クルマとして基本的なカラー──これらはまとめて1色としてカウントすることにしている。この定義に当てはめれば、ブラックアウトやホイールのポリッシュ加工は色を増やしてないことになる。そのため、全体に溶け込みやすいのだと筆者は解釈している。つまり3色といっても実質的にはボディカラー以外に加えるのは1色。これを守ると失敗の可能性がグーンと減っていく。
とはいえこの1色の決め方が大変だ。ボディと同系色でバランスさせるか、あるいは入れるスペースを極力小さくしつつも、大胆にも際立たせた目立つ補色(反対色)で攻めるか、さまざまなアプローチがある。いずれにせよ施す部分はグリルやダクト、あるいはドアミラーなどの単体で作業できる部分に塗装やラッピングなどで行うことが常套手段だ。
よく見える正面に施すのが王道であるが、あえて側面だけに施してチラっと見せる、といった高等なテクニックもある。また、それらの部分に差し色ではなくボディカラーを施しても効果的だ。あえて色を加えずにボディ色の面積を増やしていく。ホイールをポリッシュ加工してセンターキャップのロゴをボディと同色にしているのは、じつは自分のクルマにも取り入れた。意外と雰囲気が変わって満足している。
室内も同色コーディネイトして統一感を高める
さてこの悩ましい1色だが、もうワンランク上を狙うのなら、エクステリアだけで完結するのではなく、インテリアと連動させるアプローチもある。さらなる達成感に加えて、仲間内でも「そうきたかっ」と注目を集めること請け合いだ。ちなみにインテリアも3色キープがまとめやすい。
エクステリアと同様にまずは色を増やさないように注意するのが基本。ブラックアウトなどでメリハリをつけたり、さらにダイヤル類を樹脂製から上級車種用の金属製の質感の高いものに交換することは失敗しないテクニックだ。
エクステリアの差し色でシートをまるごと貼り替えるとなると俄然ハードルが上がるので、まずはエアコンの吹き出し口や小物入れなど、小さな部分へのペイントだけでも効果的だ。
「塗装はどうも……」と躊躇しているユーザーには、とっておきの方法を教えよう。それがフロアマット。これを差し色と同色にするのだ。前後の足もとが差し色と同じならば意外と面積が稼ぐことができ、視線が止まるのは確実。そしてその差し色をエンジンルームにも取り入れれば、ついつい意味もなくエンジンフードを開けてしまいがちになるだろう。
ちなみにロールス・ロイスはボディサイドに手描きによる細い「コーチライン」を施し、その色を内装色に使うという粋な演出を施すことがある。なんともシブいこの手法は、チャンスがあればぜひとも取り入れてほしい。手描きのラインは難しいとしても、ラッピングでのストライプならいけるはずだ。そしてその色に合わせて内装を張り替えれば、圧巻ではないか。