600万円で購入し、自分流にカスタム
2022年9月4日に富士スピードウェイで開催されたイベント「A-MESSE」には様々なスタンス系カスタムカーが集まったが、その中でも、今回紹介する「BMW M4」は相当目立つ1台であった。注目すべきは、そのホイールにある。かなり珍しい形状だが、このホイールを見てピンと来たなら真のBMW通と言えるかも。
M1のホイールデザインをヒントにワンオフ
オーナーは、オンリーワンのM4を目指してスタンス系のカスタムを施したというShihouさん。以前はランエボ7を所有しており、いわゆる走り屋系のチューニングを楽しんでいたが、BMW M4の美しいフォルムとスポーティさに一目惚れして乗り換えを決意したという。その時の購入金額は約600万円ほど。
元々、クルマのイベントが好きでカスタムカーに興味があったShihouさんは、手に入れたBMW M4を誰もチャレンジしていない仕様を目指し製作することに。
ベース車両が思っていたよりも費用がかかったため、カスタム費用にも限界がある。そこで、あえて純正のシンプルさを強調しながら、外装の中で一番目立つホイールの交換によって、誰もが驚くスタイルを狙って完成させた。
スポークでもなくメッシュでもない特殊なデザインのホイールは、市販されていない完全ワンオフモデルだった。オーナー自らがデザインを考え、専門業者に作ってもらった世界で1セットのみ存在する、特別なホイールである。
モチーフにしたのはBMW M1のホイールだ。オリジナルはエアロホイールとしてスポークデザインのフィンを持つ形状だったが、Shihouさんはまったく同じデザインでは面白くないという理由から、その逆デザインを採用。例えるならスポークデッシュホイールと言えるかもしれない。
このホイールを装着し、エアサスによって車高を落とした姿はとても印象的。M1モチーフのホイールだが、なんだか未来感あふれるクルマとして仕上がっている。
バブリングでサウンド面でも抜かりなし
ワンオフホイールとエアサス装着以外は基本的に純正のままだが、エンジンの出力向上と「バブリング」効果を狙ってコンピュータチューンも施している。
このバブリングとは、スーパーカーがアクセルペダルを戻すときに発生する「パパンッ、パパンッ」という爆発音のことを指す。最近、人気のチューニングとして注目されており、ターボ車であればミスファイヤリングシステムとしてターボラグの防止やエンジン保護の観点から意図的に発生させるが、NA車に与えたバブリングは音による演出のみ、である。
バブリングの発生原理を簡単に説明しよう。通常、アクセルオフ時は燃料がカットされるのが普通だが、現代のクルマはコンピュータのデータ書き換えによって、わざと吸気や点火タイミングをずらすことが可能。そこで、あえて不完全燃焼の混合気をシリンダーの外に排出させ、燃焼しきれなかった混合気をエキゾーストマニホールドに回す。すると、その中で燃焼が始まり、マフラーから「パパンッ……」という音が出るようになるわけだ。
見た目のカスタム以上に注目度が高まるのが、このバブリングである。憧れのスーパーカーのようなサウンドを真似して、カスタムフリークの間でバブリングが、人気急上昇中のチューニングメニューになっている。
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普通では考えつかない発想のM1のホイールデザインをヒントにしたワンオフホイールの装着、そしてバブリング効果を引き出すコンピュータチューニング。たったこのふたつだけで、カスタム効果を最大限に発揮させたBMW M4。Shihouさんのカスタムセンスの良さを感じる1台だ。