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フェラーリ初のSUV「プロサングエ」登場! 知られざる「4人乗り跳ね馬」の系譜をすべて解説します

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Ferrari S.p.A./Courtesy of RM Sotheby's/武田公実

エレガントな4座モデルもフェラーリの重要な支柱

 先ごろ世界初公開され、今や全世界のフェラーリ愛好家やスーパーカーファンの話題を独占している感のある「プロサングエ」は、いわゆるSUVの形態はとりつつも、フェラーリ歴代の4シーターモデルの延長線上にあるモデルとも言われているようだ。

 今回はフェラーリがこれまで生み出してきた4座席モデルを回想し、プロサングエに至る道筋をひも解いてみることにしよう。

1960年「250GTE 2+2」からフェラーリ4シーターの歴史は始まった

 ゴージャスかつ実用的、そしてエレガントな4シーターモデルは、スポーティでエキサイティングな2シーターベルリネッタとともに、フェラーリにとって創業以来の重要なプロダクト。また、フラッグシップとしても君臨してきた。正式なボディを持たず、各カロッツェリアが事実上の注文生産でボディを架装していた1950年代以前のフェラーリでは、トゥーリングやギア、そしてピニンファリーナが2+2モデルを少量製作していた。

 しかし正式量産モデルとしての4座席フェラーリは、今をさること62年前となる1960年のパリ・サロンでデビューした「250GTE 2+2」が第1号と言えるだろう。

 ピニンファリーナ製のボディは、V12エンジンを前方に追いやり、ルーフを巧みにデザインするなどのデバイスで、エレガントなスタイルと実用的な後席スペースを両立。世界最大のスポーツカー市場だった北米を中心に大ヒットを獲得する。

 しかし、大柄なボディに3Lのエンジンの組み合わせでは少々トルク不足が指摘されたこともあり、1963年には250GTEと同じシャシー/ボディに4リッターV12を搭載した「330アメリカ」も登場するが、これはあくまでショートリリーフ。翌1964年には早くも「330GT 2+2」が登場した。

 V12エンジンは330アメリカと同じ4L・300ps。ピニンファリーナは、この数年前から実験していた丸型4灯ヘッドライトを採用。ほかのスポーティ志向の高いフェラーリとは一線を画した、豪奢なデザインを与えた。ところが、この4灯のマスクがフェラーリとしてはアヴァンギャルドに過ぎるという批判もあったことから、翌1965年にはコンベンショナルな2灯ライトに変更されることになった。

 そして1967年には、後継車となる「365GT 2+2」が登場する。ビスポークの少量生産モデル「400スーパーアメリカ」のマーケット継承も期待されたことから、そのスタイルは極めてゴージャスなもので、それまでに生産されたフェラーリのなかでも最大級のボディサイズを誇ることから、英国の巨大客船に擬えた「クイーンメリー」というニックネームでも知られている。

 エンジンは1960年代のレーシングプロトタイプ「365P」系に端を発するV12 SOHC 4.4L・320ps。結果として、フェラーリ最後のSOHCエンジン搭載車となった。

フィオラヴァンティの傑作GT「365GT4 2+2」

 その後365GT2+2の後継車として1971年に誕生した「365GTC/4」は、4座席フェラーリとしては初めてDOHCヘッドが組み合わされたほか、スタイリングもウェッジシェイプのスポーティなものとなるが、2500mmのホイールベースのせいか後席のスペースは最小限で、わずか18カ月の短命に終わる。

 そして翌1972年のパリ・サロンにて、本格的な4シーターGTとして誕生するのが、「365GT4 2+2」である。名デザイナー、レオナルド・フィオラヴァンティ氏が今なお自身の傑作と称するピニンファリーナ製クーペボディは、2700mmまで延長されたホイールベースを活かしたうえに、フォーマルなノッチバックスタイルとされ、類まれなエレガンツァと高い実用性を両立していた。エンジンは365GTC/4譲りの4.4L・V12・4カムで340psを発生した。

 1976年になると、365GT4 2+2はエンジンを4.8リッターに拡大した「400GT」へと発展。フェラーリとしては初めて、3速オートマティックも選択可能となった(400AT)。さらに1978年には燃料噴射化された「400i」に取って代わられたのち、1985年には排気量を5Lに拡大。トランクのデザインをかさ上げした「412」に発展し、1990年ごろまで生産されることになった。

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