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パガーニ「ユートピア」はアートだ! ダ・ヴィンチをリスペクトするオラチオが到達した芸術品とは

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TEXT: 山崎元裕(YAMAZAKI Motohiro)  PHOTO: Horacio Pagani S.P.A.

メイド・イン・イタリアにインスパイアされたデザイン

 エアロダイナミクスももちろん優秀だ。ボディの上面には目立ったアドオンパーツはないが、これはユートピアがデザインのみによって、より大きなダウンフォースを得ること、そして空気抵抗の低減を実現したことに理由がある。

 技術的には先進的ではあるものの、1950年代のスクーター、ベスパの流線型ヘッドランプや、スピードボート、リーヴァの金具などにインスパイアされたディテールを採り入れているのも特徴のひとつといえる。

 前後のホイールはフロントが21インチ、リアが22インチ径。これにピレリによる専用開発のPゼロ・コルサが、フロント265/35R21、リア325/30R22サイズで組み合わされる。

 リアセクションに目を向ければ、パガーニ・ブランドのシグネチャーでもあるチタン製のクワッドエグゾーストが、リアセンターに確認することが可能。パガーニの伝統はここでもしっかりと守られているのだ。ちなみにセラミックコーティングが施されたこのエグゾーストシステム全体の重量は、わずか6kgしかないという。

 ユートピアのエクステリアは彫刻のような美しさに喩えられるかもしれないが、インテリアはさらに独創的なフィニッシュだ。モダンでもレトロでもない、まさに時代を超越したデザイン。

 ドライバーの前にある必要最小限のディスプレイを除けばスクリーンは存在しない。大きなスクリーンがあればデザイン上の手間は省けるものの、美しさは損なわれてしまうというのがオラチオの考えだ。すべての計器はアナログ式で視認性は非常に高い。

 パガーニの歴代モデルで使用されてきたカーボンモノコックは、もちろんこのユートピアでも継承されている。繊維の織り方を改善し、カーボンチタンやカーボントライアックスといった新しい複合素材を採用。モノコックはウアイラ比で10.5%の捻じり剛性アップを果たしている。さらに、車重は1280kgに抑えられた。

AMG製V12エンジンは864馬力

 リアミッドに搭載されるエンジンは、これまでどおりメルセデスAMG社から供給される6L V型12気筒ツインターボだ。最高出力と最大トルクは、それぞれ864ps、1100Nmと発表されており、これにxTrack社と共同開発された7速MTが組み合わされる。

 コンパクトな設計のこのギアボックスを横置きすることで、重心を最適化することを実現したことも見逃せないユートピアの特長だ。

 ユートピアのファーストモデルとなるクーペ仕様は、99台が限定生産される予定だが、パガーニによればすでに大半が特別なカスタマーへと割り当てられているという。はたして日本への上陸は実現するのだろうか。気になるところだ。

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