「キャパ」や「HR-V」を生み出した功績は大きい
なお当時のホンダは、このロゴ1本では訴求力が物足りないと判断したのだろう。ロゴ登場の翌々年の1998年になると4月にハイトワゴンの「キャパ」、9月には、まさに今日のSUVムーブメントを先取りしていたかのようなスタイリッシュな「HR-V」を、ロゴと同じプラットフォームの派生車として登場させていた。
キャパはパーン! と張った大きな面のクリーンなスタイルは魅力だったし、一方のHR-Vはロゴ、キャパと同じ2360mmのホイールベースをもつ3ドアのほかに、ホイールベースを2460mmに伸ばした5ドアも設定。175mmの最低地上高、天地にスリムなボディ形状など、ロゴと較べるといかにもホンダらしい、理屈抜きで遊び心を感じさせる個性的なクルマとして注目されたのだった。
2001年に登場し大ヒットした「フィット」への中継ぎでもある
そしてロゴといえば、2001年に登場し、大ヒット作となった初代「フィット」がその後継車だったという事実も忘れられない。つまりロゴは今から見ると「フィット前夜」といった位置づけのクルマだったということになる。
今回の記事化に際しては、あろうことかロゴの最初のカタログ(「Logoのかんがえ」と文字だけの表紙のカタログだった)がどこかに紛れてしまったらしく、発掘できたのは2001年1月版の最終型のカタログ(ホンダマルチマチックSのスイッチがついたキリヌキのステアリングホイールの写真が載った黄色地の表紙のもの)だった。おとなしめのクルマをなんとか若々しく軽快に訴求したい……そんな意図が伝わってくる装丁のカタログだ。
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なお登場時のプレス向けの広報資料は発見でき、見ると「開発コンセプトは“ちょうどよさ”の徹底追求」と書かれていた。2008年にホンダから初代フリードが登場した際に「ちょうどいい」をキャッチに使っていたが、ロゴのほうがほぼ同じ言葉を先に使っていたことを迂闊にも気づいていなかったことに、14年を経た今になって気づいた次第である。