ランボルギーニ創業25年を祝うモデル
RMサザビーズ社は、2022年のペブルビーチにおいて開催した「モントレー」オークションに、ランボルギーニ「カウンタック」の最終進化型となる「25th アニバーサリー」を出品した。「ミウラP400」、「レヴェントン」、そして「カウンタックLP500S(LP5000S)」とともに、4台のランボルギーニをステージ上で披露することに成功した。
その中で最大の驚きといえたのは、1984年式のカウンタックLP500Sが、100万ドルを超える価格で落札されたこと。ならばそのさらなる進化型となる、そしてカウンタックの最終型となる25th アニバーサリーには、どのくらいの評価が下されるのか注目が集まった。
657台生産された25th アニバーサリー
RMサザビーズ社による予想落札価格は55万~65万ドル(邦貨換算約7400万~8800万円/オークション当日のレートによる)というものだった。ちなみに25th アニバーサリーはカウンタックの全シリーズの中では最もその生産台数が多いモデル。25th アニバーサリーなる車名が意味するところである、ランボルギーニの創立25周年にあたる1988年から1990年にかけて657台が生産されている。
その25th アニバーサリーが大きな特徴とするのは、まずは何といってもそのエクステリアデザインだろう。デザイナーとして抜擢されたのは、当時ランボルギーニの契約デザイナーであり、後にパガーニ・アウトモビリ社を設立するオラチオ・パガーニ。
パガーニはまず、欧州仕様、そして北米仕様のいずれにおいても、ひとつのスタイリングを与えることを試みる。フロントバンパーやそれ自身でスポイラーとしての機能も果たすリヤバンパーの造形などは、まさにそのコンセプトによるものだが、結局それはアメリカのすべての州では適合できなかった。出品車には無骨な5マイルバンパーが装着されていないのは幸運だ。
オラチオ・パガーニの手が加えられたパートは?
パガーニの仕事は、おもにボディのボトム部、そしてドアとリヤフェンダーを分けるパーテーションラインから始まるエアインテークの造形、あるいはエンジンカバーなどにも表れている。
彼はさらにリヤウイングの装着も考えたが、それを最終的に標準で採用しなかったのはファーストモデルを生み出した、マルチェロ・ガンディーニへの敬意によるものと考えることもできるだろう。
インテリアの使い勝手も大幅に向上した。手動式だった窓は電動式に変更され、ドライバー、パッセンジャーの両席ともにパワーアジャストが可能になった。ステアリングホイールのデザインも新デザイン。さらにはエアコンもより強力なものにリニューアルされている。
出品車は1988年式というから、25th アニバーサリーの中でも最も早い時期にデリバリーされたモデルとなるが、そのエクステリアやインテリアのコンディションはじつによく保たれている。オドメーターに表示されている走行距離はわずか8742km、また2022年3月に実施した最新のメンテナンスでは、エンジン整備、クラッチ調整、オイル交換、ブレード洗浄などが行われている。
ランボルギーニ・カウンタックの最終進化型たる25th アニバーサリー。その人気はやはり高く、会場では応札が繰り返されたが、最終的に51万ドル(邦貨換算約6900万円)という価格でハンマーは振り下ろされた。
ランボルギーニは2023年で創立60周年。カウンタックもすでに十分にクラシックな域に入ってきているはずなのだが、それを感じさせないのは、さすがにスーパーカーの頂点をデザインとエンジニアリングで極めたモデルだけのことはある。