多数の日本車が集結するドイツの大規模イベント!
ドイツの首都ベルリンから西へ約200km。オッシャースレーベンという小さな町にあるサーキットにおいて、2022年9月9日~11日の3日間にわたり、なんだかアジア車のディープなイベントがあると聞きつけた。会場の様子をリポートしよう。
クルマだけではなく日本文化を楽しめるコンテンツ目白押し
すっかり秋の雰囲気が漂う北ドイツの田舎町で「アジアアレーナ」という、アジア車とアジアのライフスタイルカルチャーを融合したイベントが開催されていた。日本の某テレビ番組のように、道中で誰かを見かけた際には「第一村人発見!」と言いたくなるようなドイツの片田舎でいったいどれだけアジアが認知されているのか、実際に見るまでは多少懐疑的だったのはココだけの話だ。
アウトバーンを降り、見渡す限りの畑と数多く立ち並ぶ風力発電機を見ながらオッシャースレーベンへ向かった。畑のなかに建つサーキットの広いパドック、ピットやラウンジが主なイベント会場となっており、ドイツではマスクの着用義務はなくなったものの、まだまだ続くコロナ禍の密が避けられて丁度よい。
ステキなドイツ車があふれるこの国に、はたして日本車の愛好家などいるのだろうか? と思っていたが、いざ赴いてみるとビックリ! ここはプチ大黒ふ頭か? と思うようなラインアップではないか!
金曜日のお昼から始まったこのイベント。3日間のプログラムはド日本風? な商品が売られた出店、メイドカフェやアニメ上映会などが毎日開催されているほか、ドイツ人漫画家さんのインタビューにコスプレワークショップ、コスプレパレードやコンテストといった、日本体験イベントのような催しが続く。
その一方で、ドリフトコンテストのほかドレスアップコンテストやチューニングのレクチャーのほか、ヨーロッパ最大のホンダ「シビックタイプR」のオフ会もこのイベントのなかに組み込まれていた。これほど多くのシビックタイプRをドイツで見たのは初めてかもと思ってしまうほどの145台が集まったそうだ。
苦労して日本車チューニングを楽しむ参加者多し
ドイツの都市部ではほとんど見かけない、チューニングやドレスアップを施したクルマが集結している光景は圧巻。最近の車両も多くあるが、日本でも人気の1990年代の日本車が、ドイツでも非常に人気なのだとか。一方でこれぞ日本のカルチャーとも言える「痛車」までいてビックリ! それもローマ字で「ITASHA」と表記されているのがなんだか新鮮だ。実際にドイツの公道で痛車をまだ見かけたことがなかっただけに、ある意味でカルチャーショック。
ここで少しだけ、ドイツでのチューニングカー事情を紹介しよう。ドイツでは日本と同様に、一般的な新車は3年目、それ以降は2年おきに車検を受けなければならない。筆者の場合は、毎回自分で予約を取って車検機関へ受けに行っている。TÜV(テュフ)を代表とする各検査機関があり、どこで受けても良い。また、日本と同様にディーラーや自動車修理工場などでも行ってくれるので、自分の都合の良い所に行けて便利なうえ、問題がなければ30分程で終了する。
しかし、ドイツではチューニングやドレスアップをする場合には、パーツやその箇所によっては検査機関へ持ち込んで一点ずつ車検を通す必要があり、その個別費用は結構高いようなので、日本のようにドレスアップされた車両はあまり見かけることはないのが現状だ。
検査機関での認証を受けていないチューニングやドレスアップに対しては、警察の抜き打ちチェックに遭った場合にはもちろん罰金と点数が科される。例えばECUチューニングで検査を受けずに事故を起こした場合、保険金の支払いが不可となる場合があるので注意をしなければならない。それゆえに、チューニングやドレスアップの愛好家は並々ならぬ情熱とお金をかけているのは間違いないだろう。
彼らに聞くと、インターネットや雑誌などで見掛ける日本のパーツは、ドイツでの品質認証規格証明がされていない物が大半で、いくらカッコよくてもドイツで装着すると違法となるのが残念で仕方がないという。個人で認証規格を取得するのは莫大な費用と時間の関係でほぼ不可能。日本独特のチューニングやドレスアップの文化を取り入れたくとも、取り入れられない事情もあるようだ。