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「アバルト595」がライトチューンだけで激速に!? 実際にサーキットアタックで検証しました

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TEXT: 加茂 新(KAMO Arata)  PHOTO: 加茂 新

どんどんタイムアップが望める懐の深さが楽しい

 そして、デファレンシャルは純正のままながらも、アバルト595にはTTC(トルクトランスファーコントロール)という機能が備わっていて、スイッチONにすると、コーナリングでアクセルを踏んでイン側タイヤが空転するとそちらにブレーキを掛けて、タイヤの空転を止めてくれる。駆動力の向上にはならないが、ノーマル状態でイン側タイヤを無駄に摩耗させるのを避けられるのはありがたい。

 しかも、これは体感上だが、コーナリング時の姿勢制御の介入が入りにくくなる。加速時にスロットルを絞られたりする量も国産車に比べれば遥かに少なく、結構気持ちよく走れるのである。

 正直を言えば、パワーからするともっとタイムが速くてもいい。十勝スピードウェイで1分35秒くらいは出ても良さそうなパワーなのだが、いまいち伸びない理由はタイヤサイズにもある。

 今回はハイグリップラジアルのA052を使ったが、タイヤサイズは205幅。絶対的グリップだけを求めるならもっとタイヤ幅を広げ、バネレートを上げていけばコーナリングスピードを底上げできる。さらにLSDを装着すれば、加速時のトラクションが劇的に高まり、タイムは大きく短縮できそうである。

トルクフルでストリートでも圧倒的に速い

 しかし、そんなことはどうでもいいほど楽しいのがアバルト595。絶対的なタイムは速くなくても、ドライビングは本格的。しっかりと荷重を移動させて曲げていくと綺麗にクルマが回りこんでいく。その痛快さはなんとも言えない気持ちよさだ。

 そして、ストリートでは驚くほど速い。トルクに優れるエンジン特性で街乗りでは数値以上に速く、使い勝手がよい。だからこそ、チューニングカー乗りがセカンドカーに買うことがすごく多いというわけだ。

 北海道では冬場の使い勝手は4WDが優れる。FFのアバルトはその点では劣るが、4WDと違ってメンテナンス時のコストも抑えられるし、TTCを使えば仮想LSDになるので、滑りやすい路面でも扱いやすい。北海道でもアバルト595の人気が高まっていることに、大いに納得できたのだった。

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  • 加茂 新(KAMO Arata)
  • 加茂 新(KAMO Arata)
  • チューニングライター。1983年生まれ。父が初代VWゴルフ、シトロエンBX、ZXなどを乗り継いでいた影響で16歳で中型バイク(ZRX400)を購入し、大阪芸大時代にAE86を購入。卒業後はチューニング&ドラテク専門誌を15年間製作し(約2年の編集長を含む)、数多くのレースにも参戦。2021年春よりフリーランスとなる。過去には180SX、S15、NA8、SCP10、86前期&後期を所有。現愛車はAE86、GR86、ZC33Sスイフトスポーツ、CBR954RR。
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