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「DS」ブランドはなぜシトロエンから独立した? フランスが誇るラグジュアリーカーの血統を見直そう

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TEXT: 高桑秀典(TAKAKUWA Hidenori)  PHOTO: 高桑秀典/Stellantis/AMW編集部

ステランティスの中でも高級でアヴァンギャルドな独自の路線を行く「DS」

 Stellantis(ステランティス/2021年1月にフィアット・クライスラー・オートモービルズ=FCAとグループPSAの合併によって誕生したグローバルカンパニー)の高級車ブランドである「DSオートモビル」は、2009年にシトロエンのサブブランドとして登場し、2015年に独立した(ブランドの設立日は公式には2014年6月1日とされている)。

 以来、単独のフレンチブランドとして、これまでの自動車業界にはなかった大胆かつ革新的でラグジュアリーなクルマを提案している。

かつてシトロエンのフラッグシップだった「DS」が原点

 なにゆえにDSオートモビルが「ドレッシーでプレミアムな新しいクルマ」をテーマとしているのかというと、ブランドのアイコンとなっている往年の名車「シトロエンDS」のコンセプトをリスペクトしているからだ。1955年のパリモーターショーで発表されたクラシック「DS」はシトロエンのフラッグシップとして、ハイドロニューマチックサスペンションやディレクショナルヘッドライトといった、独自に開発された当時最先端の技術を多数搭載していた。

 1955年といえば日本ではトヨタがクラウンを発表し、日産がダットサン乗用車をリリースしたような時代である。エレガントで美しく、なおかつ革新的なクルマであったクラシックDSは世界中にショックを与え、瞬く間にセンセーションを巻き起こした。1975年まで生産されたクラシックDSは、シトロエンによる先進技術のシンボルとして君臨し続け、自動車史にその名を刻んだが、シャルル・ド・ゴール大統領(在任:1959年1月8日~1969年4月28日)の公用車として使用されたことでも知られている。

 また、大統領用特装リムジンとして車体を大型化し、防弾装甲装備を大幅に強化した「プレジデンシャル」と呼ばれる特別なDSも製作され、任期末期のド・ゴール大統領と後継大統領のジョルジュ・ポンピドゥが使用した。アンリ・シャプロンが架装したこの「スペシャルDS」は、直線的なディテールを採り入れた風変わりなリムジンだ。

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