メーカーごとの特性を活かすとチューニングがさらに進化する
この固有振動数はスプリングメーカーによっても異なり、同じ長さで同じバネレートでも、固有振動数が多めのメーカーもあれば少なめのメーカーもある。
近年では「ハルスプリング(HALsprings)」のように、低反発/中反発/高反発と異なるモデルをラインアップしているメーカーもある。
ほかにも、バネレートの特性にこだわるメーカーもある。アメリカ製の「ハイパコ(HYPERCO)」はそのレートの安定性にこだわっている。
通常バネは縮み始めはややバネレートが低く、沈むごとにバネレートが高くなっていきやすい。あえて、沈み始めは柔らかい乗り心地を確保して、奥に沈むほど硬くなる特性を目指すこともある。
しかし、HYPERCOではレートが変化していくとレースの世界ではセッティングが決めにくいという考えから、沈み始めからたくさん縮んだところまで、ほぼ同一レートになるようにこだわって設計している。
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このようにカタログ数値だけ見ると同じようでも、スプリングそれぞれ設計思想が異なるので、どのメーカーが良いとか悪いという問題でもない。そういった特性を活かすべく、あえて前後で異なるメーカーのバネを使うチューナーも少なくない。
車高調の乗り味を変えるのに、同じレート、同じ長さでスプリングメーカーだけを変えてみるという楽しみ方もある。さらにその先には長さも選べる。奥深きバネの世界はバネレートだけではない、壮大な深さがあるのだ。