粋なサンデー・レーサー仕様で遊ぶのもイタリア流
今回ご紹介するこちらのフィアット127は1972年式で、ヒルクライム競技などの参戦を前提に、競技車両としてイタリア本国で仕上げられた個体だ。排気量の拡大やハイリフト・カムシャフトへの交換、キャブレターをウェーバー製にするなどのチューニングが行なわれており、ノーマルの903cc・47psから1050cc・75psにまで高められている。当然ながら増大したパワーに対応して、足まわりやブレーキも強化。
運転席と助手席はバケットシートに交換され、その後方には消火器も備える。内装が剥がされリヤシートもオミットされた室内にはロールケージが張り巡らされ、リヤの両サイドとテールゲートのウインドウもアクリル製に交換されるなど、軽量化にも余念はない。イタリア製小型車は、こういったモディファイがじつに様になる。
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128とともにフィアットの前輪駆動化シフトの鏑矢となった127は1977年まで生産され、大フィアットのロワー・グレードを支えるという大役を見事にこなした。そんな127はまた、かつての500や600などと同様にサンデー・レーサーたちの格好の相棒にもなったのだ。
財布の軽い若者やヤング・アット・ハートなお父さんが、手頃な大衆車をベースにコツコツと手を加え、週末のアマチュア競技会に出かけていく……。そんなイメージに仕上げられた旧き佳き「サンデー・レーサー仕様」を手に入れて遊ぶという選択は、じつは想像以上に現実的で健全な「贅沢」といえるのではなかろうか。
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晨風
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