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「B」は「バック」じゃない! 誤発進しないためにも知っておきたいシフトのポジション名の意味を全部教えます

ATにもいろいろあります

それぞれのシフト操作の意味やシフトノブカスタムも紹介

 クルマの運転に欠かせないといえば、アクセル、ブレーキ、ハンドルの操作。さらに動くという意味で重要なのがトランスミッションで、その駆動系を操るのがシフトレバーだ。使用頻度が高いわりには、じつはこの役割を知らなかったという人も多いかもしれない。今回はシフトレバーについて紹介していこう。

■シフトレバーの役割

 自動車のトランスミッションを変速するために設置されているものがシフトレバー。手で握る部分はシフトノブと呼ぶ。トランスミッションにはマニュアル(MT)とオートマチック(AT)の2種類がある。どのギヤにするのかを自分で選択して変速させるのがMT、自動でクラッチ操作やギヤ選択をしてくれるのがATだ。

■AT車の基本的なシフトレバー

 トランスミッションは走行状態に合わせて変速させるもので、一般的なAT車のシフトレバーには、P、R、N、Dなど記号によりシフトパターンが示されている。ほかにもBやSなど特殊な記号も存在するが、まずは一般的な記号について説明しよう。

●P

 シフトレバーの「P」は「パーキング」を意味する。エンジンをかける時はPの位置にシフトレバーがないとエンジンはかからない。駐車時には、Pを選択することでトランスミッション内にロックがかかりクルマを固定するが、注意すべきなのは、パーキングブレーキだけではクルマは動かないとは言い切れないということ。

 大きな力がかかるとロックが外れてしまうのでサイドブレーキを併用することが望ましい。また、クルマが完全に停車していない状態でPをいれてはいけない。その理由は、動いている状態で無理やりPに入れるとロックがかかり、クルマが急停車するだけでなく、トランスミッションにも大きなダメージを与えることになるからだ。事故や故障の原因のひとつになるので注意が必要となる。

●R

 シフトレバーの「R」は「リバース」を意味している。いわゆるバックギヤだ。駐車するときやクルマの切り返しなど後退が必要なときに選択する。Rに入れる前に必ずブレーキを踏み、クリープ現象で走り出してしまうので注意が必要である。

●N

 シフトレバーの「ん」は「ニュートラル」を意味し、RとDの間に位置する。Nに入れるとエンジンからタイヤへ伝わる駆動力がカットされる。駆動力が切り離されるためアクセルを踏んでもクルマは発進しないが、Pと違って駆動のロックはかからない。故障時にクルマを押したりけん引されたりするときにも使用できる。

●D

 シフトレバーの「D」は「ドライブ」を指し、クルマを前進するときに使用する。通常の走行時には、ギヤチェンジを意識せずに走行できる。アクセルとブレーキペダルのコントロールやさまざまな走行条件に合わせて自動的に最適なギヤに変速。CVTやDCTなど仕組みの違うATでも通常走行はDレンジが担う。

 注意が必要なのは、Dに入っているとアクセルを踏まなくても前に動き出す「クリープ現象」が起きることだ。渋滞時には便利な機能だが、停車時にブレーキを緩めるとクルマが勝手に動き、追突事故を起こす可能性がある。

■MT車のシフトレバー

 MT車は、それぞれのギヤが数字で表記され、道路の状況や走る速度によって適切なギヤをドライバーが選択する。AT車に存在するPはなく、RはAT車同様に後退時に使用。

●N

 エンジンを始動するときの位置。また駐車をするときはNに入れ、サイドブレーキを引く。

●1(1速)

 クルマを走り出させるときや大きな力や強いエンジンブレーキが必要なときに使う。

●2(2速)、3(3速)

 加速していくときや普通走行のとき、また減速してエンジンブレーキをかけるときに使用。

●4(4速)、5(5速)

 普通走行や高速走行するときに選択する。

■AT車のその他のシフトレバー

●2

 MT車にある2速へのシフトダウンを、ドライバーのクラッチ操作なしで行えるのが「2」だ。上り坂での失速や、カーブへの侵入時にブレーキを補って減速したいとき、下り坂でエンジンブレーキを使いたいときなどに2に入れる。

●L

 ローギヤ(1速)を意味する。2に入れても、エンジンブレーキがあまり効かずに加速してしまうようなキツい傾斜の下り坂などで使用。

●S

 メーカーによっては「スポーツモード」や、「セカンド(2)」を意味する。下り坂でエンジンブレーキが必要なときや、カーブの手前などでエンジンブレーキを効かせて減速したいときに使う。

●B

「ブレーキ」を意味する「B」は、「S」よりもエンジンブレーキを効かせたいときに使用。役割的には「L」と同じとなる。

 あまり見慣れないSとBレンジだが、最近はレンタカーでもこのシフトポジションを備えた車種に遭遇することが少なくない。例を挙げれば、日産ノートe-POWERやホンダ・フィット(ガソリンモデルはS、ハイブリッドにはBレンジ)、トヨタ・ヤリスやプリウスなどだ。シフトレバー自体の形状も直線型ばかりではなく、ジョイスティック型などがあり、シフト操作に慣れるまで少し時間がかかる。発信する前に、シフトノブに記されている表示をよく見て操作確認が必要だ。

■シフトロックの解除方法

●シフトロックとは

 AT車には「シフトロック」機構という安全システムが備わっている。これは、誤作動防止などの観点からエンジンがかかっている状態でブレーキを踏まなければ、Pレンジからほかのレンジへ動かない仕組みのことを指す。子どものいたずらなどによる事故防止や、坂道でキーを抜いたクルマが動き出してしまうことを防いでくれる。

●シフトロック解除方法

 エンジンがかかっていなければ動かないシフトレバーだが、シフトロック解除ボタンを押すことで、エンジンがかかっていない状態でもシフト位置を変更することができるようになる。解除の仕方は、まずサイドブレーキをかけ、次にブレーキを踏みながらシフトロック解除ボタンを押し、そのボタンを押したままシフトレバーをPからNに動かせばOKだ。

 停車している場所に少しでも傾斜があると、シフトレバーをPからNに動かしたときにクルマが動き出す可能性があるため、必ずサイドブレーキをかけてから操作したい。シフトロック解除ボタンにカバーがついている場合は、マイナスドライバーなどの先の細い道具を使うと簡単に開けることができる。

 車種によってやり方は違うので、愛車の解除方法を取扱説明書で確認しておきたい。一部のハイブリッド車などには解除ボタンの搭載がないこともある。その場合は、無理に自分でなんとかしようとせずにロードサービスを呼び救援を待つようにしよう。

■シフトレバーをもっとおしゃれにするには?

 シフトノブはクルマを運転するなら必ず触れる部分だ。MT車ならギヤチェンジのたびに触れることになるため、なおさら操作性の良いものへ交換や、ドレスアップがしたくなる。最近ではスポーティなものからユニークなデザインのものまで、幅広く販売されている。内装のイメージチェンジにひと役買ってくれること間違いないだろう。では、その一例を紹介していこう。

●シフトノブを変える

・ぷにぷにがたまらない肉球シフトノブ

 ホンダから愛犬用純正アクセサリーとして、本物さながらのぷにぷに感触がたまらない肉球シフトノブが販売されている。ギヤチェンジのたびにちょっと触りたくなっちゃうお茶目さが可愛らしい。カラーは、クールな「くろ」、ポップな「しば」、落ち着いた雰囲気の「しろ」の3色の設定となる。価格は税込1万1000円(消費税込、以下同)。

・スポーティなタイプは握り心地も大事

 ダイハツ車のカスタマイズパーツを手掛けている「D-SPORT」から、MT&AT車用のシフトノブが用意されている。操作性に優れるスポーツシフトノブ。握りやすさと、サイドグリップ(シフトノブを横方向から握る)多用時の疲労軽減に配慮されている。人間工学に基づいたデザインを採用しているのもポイント。価格はAT用が4950円、MT用が4620円となる。

●シフトカバーをつけてみる

 シフトノブ本体は変えずに、雰囲気を変えてくれるのがシフトカバーだ。革巻きやカーボン柄などが存在する。シフトノブに被せるだけの簡単カスタムなのでDIY初心者も手を出しやすい。

 そのほかにも、シフトノブ全体を覆うように装着するシフトブーツや、シフトパネルの交換などもチャレンジしやすいカスタムなので、お気に入りのアイテムを見つけてほしい。

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 普段何気なく操作しているシフトレバーだが、これまで使用したことのないボタンやポジションの使い方を知ればより快適で安全なドライブができる。万が一のときに慌てないよう、今一度愛車のシフト周りを確認しておきたい。

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