登場時に驚くようなデザインを採用したモデルが多数
クルマとデザインは切っても切れない関係にある。乗っていると本人はボディがどのような形なのかわからないなんていう野暮なことは抜きにして、デザインがよければカッコよくもあり、上品に見えたり、さらには高級に見えたりするものだ。もちろんその逆もあるが……。
デザインがいい悪いというのは、クルマ好きのなかでも話題に上りやすいテーマで、単純に割り切れない、どのように評価すればよいのかわからないデザインのクルマというのがある。簡単に言ってしまえば奇抜なクルマだったりして、今回は理解不能なデザインのクルマを見てみよう。
フィアット・ムルティプラ
まずは海外勢から。初代と2代目があり、どちらも奇抜。初代は1956年に登場していて、犬みたいな顔つきと尻下がりのスタイルなど、ユニークすぎた。1998年に登場した2代目(正確には初代は「600ムルティプラ」)はさらに難解というか、よく重役陣もGOサインを出したな、とうならせされるデザインだ。ちなみにフロントガラス下のライトはハイビームとなる。
シトロエンDS
昨今のシトロエンはユニークながらも質の高いデザインで人気。一方、往年のシトロエンは奇抜というか変態デザインのオンパレードだ。2CVもよく考えると、クルマとしてはありえない形である。その真骨頂となるのが「DS」で、宇宙船のようなスタイルは唯一無二だ。その派生モデル「SM」、後継車的な存在の「CX」。カウンタックでお馴染みのガンディーニデザインの「BX」など、1990年代まではわが道を行き過ぎたメーカーだった。
ルノー・アヴァンタイム
デザインで侮れないのがフランスのミニバンたちで、シトロエンであれば「ピカソ」。ルノーは「エスパス」からの「アヴァンタイム」だ。アヴァンタイムのフロントは精悍というか睨みがきついというか、強烈な感じ。しかも、ライトの上にはスリットが切ってあるのだ。リヤはクリフカットと言ったらいいのだろうか、逆スラントの絶壁となっている。
マツダ・コスモスポーツ
日本車も1960年代あたりは試行錯誤していた時代ということもあり、奇抜なデザインのクルマがけっこうあった。個性派ぞろいと言ってもいいだろう。
マツダデザインへの評価は高いものの、これは今に始まったことではない。たとえば「ルーチェ」はクセがありすぎるモデルだったし、そこから派生した「ルーチェロータリークーペ」はベルトーネ時代のジウジアーロがデザインしたもので、存在感が半端ない。
自社デザインだと、初代の「コスモスポーツ」だろう。ロータリーエンジン搭載車第1号でもあるが、1967年という時代を考えると、時代を先取りしすぎており、今見ても惚れ惚れするほどのレベルだ。ディテールは難解過ぎるが、デザインを担当した小林平治氏自体が相当ユニークで、型にはまらない人だった(その後、退社)。「キャロル」や「360クーペ」もデザインしており、そう言われるとなんだか納得する。
スバル・アルシオーネSVX
バブルの波に乗って出た、水平対向6気筒搭載のスペシャリティカーとしてお馴染みだが、こちらのデザインも相当な存在感でセンスも独特だ。担当したのはジウジアーロで、本人が実車を見たとき、「スケッチそのままに作っちゃったの!?」と驚いたという噂もあり。
トヨタ・セラ
1990年代あたりまでは、突然ユニークなことをすることが多かったトヨタ。その代表格が「セラ」だろう。ユニークな理由は見てすぐにわかる通り、全面ガラス張りとシザードア。今だと断熱ガラスなどがあるが、当時はなくてフツーのガラスを使用しているため、当然、夏になると温室状態だった。今ならクレームものか!?
いすゞ・ビークロス
1993年の東京モーターショーに登場したコンセプトカー、ヴィークロスをそのまま市販化しただけに、奇抜どころではなかった。日産に移籍して話題になった中村史郎氏とサイモンコックス氏がデザインしたもの。じつは市販化が急きょ決まったこともあり、ショーカーと市販車のデザインはイメージが一緒なだけで、ディテールはまったく違ったりする。どちらも奇抜ではあるが。