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80年前の元祖「ジープ」の中身が凄かった! 三菱と「ウィリスMB」をハイブリッドした利点とは

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TEXT: 勝村大輔(KATSUMURA Daisuke)  PHOTO: 勝村大輔

随所に備わるワイルドな装備が軍用車だった証

 簡素なトップのみの幌が備わる車体は、ドアの代わりに紐が一本備わるのみという簡素なスタイル。ちなみにウィリスMBのもっとも大きな特徴は、その後のジープの象徴にもなっている「7スロットグリル」ではなく、ラジエターグリルのスリットが9本となる点だ。

 さらに車体を見て回ると、随所に軍用車だった名残が見て取れる。車体側面にはスコップやアックス(斧)などが固定されているほか、車内を見るとフロントウインドウ直下にはライフルを固定するホルダーも備わっている。また左右シートの間には無線機が備わり、車体後部に無線アンテナがそびえ立つなど、ワイルドなジープが集まるイベント会場でもひときわワイルドな見た目となっている。

Aピラー付け根に備わる機器は大昔の通称「アポロ」

 外観で特徴的だったのは、フロントクォーターパネルに見慣れない器具が備わっていたことだ。籾山さんいわく、これはウインカーの代わりになるものだという。MBは軍用車両ゆえにウインカーが備わらないのだが、これを公道で使用するために、「腕木式方向指示器(セマフォー)」と呼ばれる器具を装着しているのだ。

 これはスイッチを入れるとオレンジ色に点灯したバーが「ピコン!」と飛び出るというもの。よく見ると日本で「アポロ」の名前で親しまれたアポロ工業製が備わっていたため、おそらく過去に日本で追加されたのだろう、とのことだ。

* * *

 今やオフロードSUVのトップブランドとして君臨している「ジープ」だが、その原点は最も過酷な状況=戦場にあったのだという歴史をこのウィリスMBは物語る。それが博物館の中ではなく、こうして公道を走れる状態で引き継がれていることに、前オーナーと籾山さんの愛情がうかがわれるのだった。

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