クラシックカー・ラリーを楽しむ趣味人の秘密基地
1969年式のマツダ「コスモスポーツ」を駆ってクラシックカー・ラリーに参戦する機会が多く、御年68歳になった今も、日本を代表するスポーツカーで年間2万km近くを走破している疋野 繁さん。愛車に関しては、どこをどんな風に改善すると臆することなく走れるようになるのか熟知しており、それらのノウハウを惜しげもなくクルマ仲間たちに提供している。
4台収容の大きなガレージを2つ運用するカーライフ
クラシックカー・ラリーの世界では誰もが知る有名人で、コスモスポーツをはじめとする国産旧車が集まるイベントやツーリングにおいてもキーパーソンとなっている疋野さんは、現在、使い勝手がいい2つのガレージを運用している。横方向に4台のクルマを収容できるガレージとリフトがあり、L字型に4台を収容できるファクトリー風のガレージだ。
横長のガレージは2階部分が居住スペースになっているが、ここは一服するための空間で、疋野さんは住んでいない。ホンダ「NSX」とユーノス「ロードスター」が収納されている別棟のリフト完備スペースを含め、あくまでもガレージとして機能している建物だ。まず2013年頃にコスモスポーツやトヨタ「スポーツ800」(ヨタハチ)が羽を休めている横長のガレージが完成し、2016年の夏頃にマツダ製およびホンダ製のスポーツカーが収まっているガレージが竣工したのだそうだ。
賃貸ガレージハウスでノウハウを蓄積してから建築
疋野さんによると、ひとつめの4台収容横長ガレージを建てる前に工夫したことがあったらしく、それは「なるほどね!」と思えるモノだった。これからガレージを造ろうと思っている人の参考になるかもしれないので記しておこう。
「じつは、さまざまなデータを取る目的で、埼玉県内の某所で住めるガレージハウスを2年弱ぐらい借りたんですよ。その建物でガレージライフを実践しながら、ここの段差が危ない、ここにある鉄の扉は無意味、コンセントの位置が考えられていないのでまったく使えない、といったようなダメ出しをしました。この2年弱で十分なデータを取ることができたので、2階に居住スペースがあるガレージを造る際に、賃貸ガレージハウスでダメだなコレは……と感じた部分や、必要ないなココは……と感じた部分をすべて反映・改善することにしました。そのおかげで、快適なガレージを設けることができました」
大がかりな整備もできるファクトリー風ガレージ
もうひとつ、2016年に新しく設けたガレージのほうは、既存の横長ガレージが手狭になったことを踏まえて造ったものなので、もっと大がかりな整備を行えるように空間を広々としたものにする&さらなる駐車スペースを確保するというプランで構築した。
こちらのフロアには、エポキシ系の素材を施工。天井部分は印象的な形状になっており、大空間構造に有利な張弦梁(ちょうげんばり)だ。配線は、碍子(がいし)を用いてわざと見えるようにしており、張弦梁とともにガレージ内のいいアクセントになっている。壁面は、木毛セメント板だ。
ガレージの奥部にトイレがあるが、壁面と同じ木毛セメント板に覆われているため、扉が閉まっているとその存在があまり気にならない。居住スペースはもちろん、コスモスポーツやヨタハチが収納されているガレージ内にもトイレがあり、こちらには多数のミニカーをディスプレイ。それとは別に国産旧車関連のグッズやミニカーを飾るための棚も用意されており、ガレージ内の雰囲気を華やかなものにしている。このあたりのディテールも真似したい要素のひとつだ。
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最近また新しいスポーツカーを買ったらしいので、疋野さんが展開している二刀流のガレージライフは、ますます充実したものになっていくだろう。コスモスポーツやヨタハチなど魅力的な国産スポーツカーについては、また改めて詳細をお届けしたい。