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マツダの手動運転装置キットを取り付けた「SeDV」とは? 直感的に使用できる「アクセルリング」と「レバーブレーキ」を採用

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TEXT: 青山義明(AOYAMA Yoshiaki)  PHOTO: 青山義明

昨年末に受注を開始した手動運転装置キット

 東京お台場にある東京ビッグサイトで、2022年10月5日~7日に開催された「第49回 国際福祉機器展 H.C.R.2022」にマツダが出展した。この国際福祉機器展は、世界の介護・福祉機器を一堂に集めた展示会で、このリアル展は4年ぶりの開催となり、国内外約340社が出展した。

 マツダブースには福祉車両2台が展示された。ともに「SeDV(エスイーディーヴィ)」とボディサイドに描かれているが、これはSelf-empowerment Driving Vehicle(セルフ エンパワーメント ドライビング ビークル)の略で、つまり自身で運転するクルマ、という意味である。出展された「MAZDA MX-30 SeDV」と「MAZDA ROADSTER SeDV」はいずれも、福祉車両でありながら本人が運転する、つまり手動運転装置付きの車両となる。

 これらマツダの福祉車両の開発・架装を手掛けるのはマツダ本体ではなく、関係会社のマツダE&T。助手席回転シート車、リフトアップシート車、車いす移動車を設定しているが、このSeDVは、自分の意志で移動したり、行動したりすることをサポートする選択肢のひとつとして提案しているもの。単純に後付けで手動運転装置を付けるというのではなく、もう少し車両に合わせて積極的にかかわった一台といえる。

 ロードスターのSeDVは2016年のこの国際福祉機器展に参考出品車として出展され、その翌年の2017年9月に販売となっている。特装メーカーのミクニ ライフ&オートとの共同開発ということで、主要装備は、コントロールグリップ、ステアリングシフトノブ、そしてステアリングシフトダウンスイッチとなる。

 手前に引いてアクセル、押すとブレーキ操作となるコントロールグリップはセンターコンソール横に配置。グリップの下にはウインカーレバー、ハザードスイッチ、ホーンボタンが設置され、グリップの固定(アクセル側・ブレーキ側ともに可能)もできるようになっている。またオプションで乗降用補助シートも用意される。

下半身に障がいのあるドライバーでも直感的に加減速を行うことができる

 MX-30 SeDVは2021年12月から受注を開始したモデルである。下半身に障がいのあるドライバーでも直感的に加減速を行うことができる「アクセルリング」と「レバーブレーキ」を採用。減速操作については力を発揮しやすいようにブレーキサポートボードを用意し、これを支点に、肘から先での細かなブレーキ操作を実現する。

 手動運転と四肢での運転操作の選択が簡単に行えるシステムとなっており、また、車いすから運転席への移乗の助けとなる移乗ボードも用意している。このSeDVはミクニ ライフ&オートとの共同開発ということもあり、今回は、車いすをルーフ側に自動で収納するミクニのオートボックス(参考出品装備)もルーフに搭載した形で展示となった。

 またブース内ではMX-30 SeDVのドライビング シミュレーターも設置し、シミュレーター上でこの手動装置の操作感を体験できるブースも用意された。

 H.C.R.リアル展はすでに開催を終了してしまったが、2022年9月5日(月)にオープンした「国際福祉機器展Web2022」は11月7日(月)の17時まで開催している。340社を超える出展社の製品訳1100点の情報を掲載し、さらに会場で行われた各種セミナーのアーカイブも見られるので、気になった際はそちらで確認してほしい。

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