本格的な軍用トレーラーを牽引した自衛隊仕様ジープを発見
2022年9月17~18日に、富士山麓のスタックランドファームオフロードコースで開催された「ジープジャンボリー」。会場では魅力たっぷりのジープとオーナーたちに出会うことができた。今回紹介するのは、長野県から2時間半かけて自走で参加した、トレーラーを牽引した自衛隊仕様ジープだ。
ボロボロだったボディを6年近くかけてレストア
2022年のジープジャンボリーには、2日間で延べ72台のジープが全国から集結した。そんな会場の中でひときわ目立っていたのが、軍用トレーラーを牽引した自衛隊仕様のジープだ。オーナーの高橋さんにお話を聞くと、三菱がライセンス生産した1976年式の「J24A」(AはArmyの意味とのこと)という自衛隊に納入した仕様。ボロボロだったボディを6年近くかけてレストアした個体だそうだ。
市販車両と似て非なる自衛隊仕様「J24A」とは
防衛庁はそれまでも1/4tトラックとして三菱ジープの「J54」を導入していたが、1973年にミドルボディにディーゼルエンジンを搭載した「J24」をベースとし、最大積載量を1/2tに増加した車両を「73式小型トラック」として制式採用。その後1996年にパジェロがベースの2世代目73式小型トラック(現在の正式名称は「1/2tトラック」)に置き換わるまで、24年もの間採用され続けた。
そのため「自衛隊車両といえば三菱ジープ」という時代が長らく続いたのだ。現在30代以上の人は高速道路を走っている姿を見たことがある人も多いだろう。高橋さんが自走して会場に乗ってきたのは、採用がスタートした1973年から3年後の1976年式だそうだ。
管制灯火やラジオアンテナなど軍用装備も数多く残る
実際の車体を見ていくと、幌型ボディに、ドアもソフトドアが備わるスタイル。ヘッドライトやフェンダー上のフロントウインカーなどにはレンズ保護のためのガードが装着されているのが特徴的だ。そしてもうひとつ大きな特徴として、通常灯火のほかにヘッドライトやウインカーなどを消して最低限の灯りで走行する「管制灯火」が備わっている点が挙げられる。
そのほか、右後ろのテールランプ上には通信無線用の長いアンテナが装着されているのも軍用車ならでは。外観ではこれら装備が市販のJ24ともっとも大きく異なる点となるそうだ。合わせて目立たない部分だが、フロントフードとボディのヒンジ部分にアースストラップが備わっているのがJ24Aの特徴だそう。これはおそらく高出力無線などのノイズ対策と思われる。
牽引するのはアメリカ製の軍用トレーラー
そんなJ24Aが牽引しているのは、三菱製ではなく、アメリカ軍の「M416」型カーゴトレーラーだ。いわゆるジープトレーラーと呼ばれるシンプルなスタイルで、1/4t積みとなる。特徴的なのは連結方法。ジープトレーラーは通常のトレーラーと異なり、車体側に「ピンドルフック」と呼ばれるフックが備わり、トレーラー側はリング状になっていることで、通常のヒッチボールより連結が素早く行える仕組みとなっているそうだ。
高橋さんは今回のイベントに家族4人でエントリー。さすがに車内に4人乗ると荷物を搭載するスペースは限られるため、トレーラーにキャンプ道具を搭載することで快適なキャンプを楽しんでいるそうだ。