現在、統一規格化進行中
福祉・介護・リハビリ・ヘルスケアなどのアジア最大級の福祉総合展示会である「第49回 国際福祉機器展 H.C.R.2022」が、東京お台場にある東京ビッグサイトで、2022年10月5日~7日に開催された。オンライン版となる「国際福祉機器展WEB.2022」が9月5日より開催されているが、リアル展では約340社の出展となった。
そのリアル展のトヨタ自動車ブースでは、これまでの恒例となっているウェルキャブシリーズの車両展示とは異なり、現在開発中の3つの技術展示を行い「技術選挙」と題して、イイね! の投票数が1500件を超えた展示物については、開発を進め、来年バージョンアップをさせたうえでふたたび展示をするという企画を展開していた。
その展示の内のひとつとして、ウェルキャブのハイエース車いす仕様車を展示。このハイエースは「車いすワンタッチ固定装置装着車」という。車いすを載せるリフト式の福祉車両では、車いすをリフトに乗せて固定する際に4カ所を止める必要があったのだが、それを手元のスイッチによりワンタッチで固定できるようにしたもの。
リフトの上にはバーを掴む固定用装置があり、車いすをそこに合わせて乗せればOK。車いすが斜めに入ってしまって多少噛みが甘くても、固定装置が噛み込む際に正しい位置へ補正される。
一日に何度も車いすを乗せ下ろしするデイサービスの送迎車など、その乗せ下ろしの時間を大幅に短縮ができるようになるのはありがたいだろう。これにより、自宅前など送迎の際の停車時間も短くすることで近隣の交通にも大きく配慮ができるという。
ただ、この固定装置を使うには車いす側にバーを取り付ける必要があり、この車いす固定用バーの規格を統一し、簡易固定システムの早期市場浸透、普及を目指す「車椅子簡易固定標準化コンソーシアム」をこの4月に設立した。ここにはいわゆる自動車メーカー、バスの製造メーカー、そして車いすメーカーら12社が協力している。
このデモンストレーションには、コンソーシアムに加わっている日進医療器の車いすを使用していた。今回の展示はハイエースだったが、このコンソーシアムにはいすゞも参画しており、路線バスなどへの展開も期待される。簡易固定標準化(ISO規格化)によって「もっと安心して、スムースに車いすのまま車両に乗れる」ことになるだろう。