働くクルマとしてのカッコよさ
クルマのカッコよさは、見た瞬間に伝わってくるもの。なかでもカスタムカーの世界では、それがとても強く現れる傾向がある。今回紹介する塗装・内装業を営む「ともさん」の200系トヨタ・ハイエースは、まさしくそうした1台だ。
エアロパーツをブレンドして装着
仕事兼ドレコン用として製作したというともさんのハイエースでまず注目してもらいたいのは、フロントフェイスの作り込みと1BOXでありながらもオーバーフェンダーを装着させた点だろう。
ボディカラーは自衛隊指定の軍用グリーンにオールペンし、フロントとリヤバンパーはS.A.D Custom Japan製のキットを装着。サイドステップとオーバーフェンダーはT-STYLE製をセットしている。
個性的な外観は、ワンオフエアロのように見えるが、装着している外装キットは市販品ということ。ただ、よりメリハリを効かせるために、各装着パーツに陰影を付けているのがポイント。この処理によって迫力が増しているのだ。また、ヘッドライトにも加工を加え、プロジェクター仕様としたことで、その表情に凄みが加わった。
オーナーのともさんはランボルギーニに憧れており、ランボルギーニのテイストをハイエースで表現したとのこと。たしかにフロントバンパーの処理などは、アヴェンタドールSのテイストが感じられる。しかし仲間たちからは、機動戦士ガンダムに登場するモビルスーツ「ザク」にしか見えないと言われているとのこと。たしかにランボルギーニよりもザク仕様と表現したほうがぴったりの雰囲気だ。
仕事用のために選ばれたハイドロ
通常、この手のシャコタンスタイルならば、サスペンションはエアサスを装着させるのが定番。だが、ともさんのハイエースはハイドロサスペンションを組んでいる。
エアサスとハイドロの違いは、似ているようで構造がまるで違う。エアサスは、通常サスペンションが採用するスプリングのかわりに、空気が入ったシリンダーを使った構造。エアバッグを搭載していて、車高の上げ下げはエアバッグ内のエア量を調節することで変化を加えている。一方、ハイドロを簡単に説明すると、油圧式サスペンション構造ということになる。こちらはスプリングの代わりに油圧で動作するシリンダーを備えている。
ローライダーと呼ばれるカスタムカーがホッピングする不思議な動きを見たことがあると思う。これこそ強化したハイドロサスペンションが成せる業で、油圧のパワーを使ってクルマを一気に上下動させているのだ。
エアサスに比べて、ハイドロは費用も高く、取り付けも面倒であるのがデメリットと言えるだろう。それでも敢えて、ともさんがハイドロを採用したのには、ともさんの仕事に深く関係している。
このハイエースは冒頭でも述べたとおり、塗装・内装業の仕事用のクルマとして普段は使われている。そのため、塗料などかなり重たいものを積載するため、エアサスではその重量を支え切れないのだ。
しかし、油圧式のサスペンションであるハイドロならば、この問題はクリアできるというわけだ。さらに、車高の上げ下げを簡単に行えて、ダンパーレスなので車高ダウンにともなう乗り心地の悪化も防げる。これがハイドロを組んだ理由だと、ともさんは話してくれた。
* * *
これまで20年以上、カスタムカーの道を歩み続けたオーナーが作るクルマには、カスタムの参考やヒントがたくさん詰まっている。見た目はもちろんのこと、仕事にも使えるようにカスタムされたハイエースは、ある意味、究極のハイエースと言っていいだろう。
毎朝通る道では、通学途中の小学生達のウケもよいとのこと。きっと、「ザク」の愛称で呼ばれているに違いない。