カスタムカーの真髄とは
カスタムカーは、目立ってナンボの世界というところもある。そのため、中途半端に終わらせるのではなく、徹底的に突き抜けたクルマを作り上げたほうが潔いもの。今回紹介するのは、そんな誰が見ても「すごい!」と唸ってしまう1台だ。
オーナー本人がエアロパーツのデザインに携わる
コンパクトなボディにスポーティなルックスを持つトヨタ「C-HR」は、若者を中心としたクルマ好きの間で人気の車種だ。カスタムベース車としても色々な想像が膨らむ1台として注目されている。
オーナーのコッチャン氏が目指したのは、カスタムカーとして突き抜けたC-HR。まず目に飛び込んでくるのが、アート感たっぷりの外装だ。イエローのボディカラーだけでも十分に目立つが、そこに火の鳥と燃え上がるファイヤーを大胆に描いている。
今どきならば、当然その手法としてラッピングを採用することも可能だ。しかし、コッチャン氏は、さらにワンオフを追求したカスタムを実践した。
もちろん「何を」ボディに描くかにもこだわりがあるが、それ以上に「誰に」描いてもらうかにもこだわっている。そこでエアブラシ界のトップペインターに依頼、迫力満点の作品に仕上がった。
外観はどうしてもエアブラシの絵に目がいってしまうが、このC-HRは装着しているエアロパーツも選りすぐられている。フロントスポイラー、マークレスグリル、サイドステップ、リヤアンダーディフューザー、ルーフスポイラー等をセット。それらすべてがローウェン製ということだった。
ローウェンのエアロパーツのデザインは、躍動感あふれるフォルムがカッコよいと評判が高い。そして、じつはこのC-HRのエアロパーツのデザイン製作を担当したのがコッチャン氏であった。外装キットについては、ローウェンの代表とともにバンパーに粘土を付け、エッジの効いたダクトを彫ってデザインの方向性を決めていったとのことだ。
自らデザインしたエアロにさらに手を加える
エアロパーツの製作後、コッチャン氏はキットのままでは満足できない性格だったので、より目立つようにさらにカスタムを進めた。一番気になっていたのはがボディの大きさだという。ドレコンイベントでは、どうしても大きい車体を持つミニバンが有利になり、C-HRのようなコンパクトカーは、部門優勝は獲得できても総合優勝がなかなか取れないのである。
こうした理由からコッチャン氏のC-HRは大幅なボディリメイクに着手。リヤはより幅広にブリスターフェンター処理を施し、全幅を2m10cmという驚くサイズに広げた。
また、よりアピール度を高めるために、プッシュアウト加工のシザースドアを採用。ボンネットも普通の開け方では面白くないので、一風変わったヒンジを製作し、斜め開けスタイルでボンネットに描いた火の鳥をアピールできるようにした。
内装もオールレッドで張り替え、魅せるオーディオシステムとしてロックフォードのスピーカー、アンプ等を電飾と連携させた形でセット。一昔前なら大きなスピーカーを搭載して、爆音によってアピールというのも流行ったが、今どきはイベント会場でも爆音が問題になっているので、アクリル板を使って、美しくレイアウトし、電飾+モニター+オーディオシステムの配置の美しさで勝負するスタイルに切り替えたという。
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そもそも目立ってナンボの精神で作ったC-HRであるが、内外装あらゆる視点から「魅せる」ことを目的に仕上げられており──さらにオーナーの情熱を知ってしまうと──カスタムカーというよりアート作品とでも言いたくなってしまう完成度だ。