派手なカスタムの次に来るものは?
クルマには純正状態のままでは乗りたくない。だからといって、派手に主張するカスタムカーに以前ほど魅力を感じなくなってしまった。そんなクルマ好きの方は多いだろう。
しかしこれは、決してカスタムへの情熱が冷めたわけではなく、クルマの仕上げ方の方向性とセンスが、年齢とともに変わったということだ。今回紹介するホンダ「ステップワゴン(RP5)」をベースに、純正風カスタムを楽しんでいる菊池安広さんがまさしくそうした人物であった。
純正然としたカスタム
ここで紹介する菊池安広さんは、これまでにR系ステップワゴン、ラグレイト、クラウンを乗り継ぎ、そのすべてをショーカー的な魅せるクルマとして徹底的にカスタムして仕上げてきたという。とくにクラウンについては、外装も内装も相当な費用をかけて仕上げ、イベントで上位入賞を果すほどだったそうだ。つまり、菊池さんは、カスタムカー道を究めた達人だったわけだ。
そんな菊池さんの現在の愛車をひと目見て、このステップワゴンの凄さに気づく人はなかなか居ないだろう。外装はバンパーもサイドステップも純正状態。さらにグリルもノーマルのままだったりする。
しかし、不思議とその姿はカッコ良く見えてしまうのだ。車高を低くして、18インチホイールを履かせただけではこうはならないだろう。そこで理由を詳しく聞いてみると、じつはノーマルのプレスラインを残したまま、前後フェンダーを純正のデザインをいかしてワイドボディ化させているという。
わかる人にだけわかるカスタム
クルマメーカーのデザイナーやその他多くのスタッフが携わって市販化されたクルマは、コスト面などでの妥協は仕方ないとして、全体としてのまとまりは文句のつけようがないのがほとんどだろう。フォルムも美しく、バンパーやグリルの形状もスタイリッシュに仕上がっている。
そうであるならば、その純正のデザインを活かして、足りないと感じる部分だけをカスタムすれば十分と考え、どっしり構えたフォルムを追求した純正風ワイドボディという道を選んだわけだ。
同じステップワゴンが隣に並べば、そのワイド感は一目瞭然。純正プレスラインをより強調させるために、フロント片側22mm、リヤ片側25mm幅のワイドボディフォルムとなっている。一見すると純正のように見えるが、メリハリの効いたフォルムが美しくカッコよい。
また、よりワイド感を主張するために、深いリムを持つワーク製ユーロラインのホイールを履かせているのもポイントだ。菊池さんによると、このホイールはただリムが深いだけでなく、昔ながらのエッジの効いたリムとなっており、よりワイド感を出すためにはこうしたホイールを履かせた方がさらにカッコよく決まるそうだ。
* * *
カスタム上級者である菊池安広さんが、純正然としたカスタムにたどり着いたということが興味深い。カスタムも突き進むと、どうしてもやりすぎてしまいがちな傾向にある。そこを敢えて控え目にシンプルなカッコよさを追求した渋くて玄人的なカスタムの仕上げ方は、今後流行りそうな予感がする。