太田サイトでのSSP初開催
9月に箱根ターンパイクを貸し切っての一般公道走行会を行った一般社団法人SSP(サイドスタンドプロジェクト)のパラモトライダー体験走行会が2022年10月15日(土)に開催された。
SSPが開催しているこのパラモトライダー体験走行会は、事故などで身体に障がいを抱えてしまってバイクに乗ることを諦めてしまった人に、ふたたびその機会を設け、また一緒にオートバイを楽しめるようにしていきたいという思いをもって活動を続けている。そのSSPの代表を務めるのは、世界のGPシーンで大活躍した伝説のレーシングライダー、青木三兄弟の三男・青木治親氏である。
これまでに多くのパラモトライダーを輩出している
その実の兄(次男)である青木拓磨選手が、1998年シーズンを前にしたGPマシンのテスト中の事故によって脊髄を損傷し、車いす生活を余儀なくされてしまった。そのことから拓磨選手をふたたびバイクに乗せることを実現させるため、さらにはこの感動を多くの人へ、と起こしたのが、この体験走行会である。
下半身不随の障がいを持つ人には、足で操作する変速操作を、手元に配したボタン操作を介してアクチュエーターでシフト操作し変速をする。バイクの走り出しと停止間際のバイクが不安定になるタイミングで、バイクに多くのスタッフが集まって、これを支えることとなる。そのためこの活動には多くのボランティアスタッフが協力している。2020年の初回の開催からほぼ毎月のように体験走行会を開催しており、これまでに多くのパラモトライダーを輩出してきた。
今回、その舞台となったのは群馬県太田市にある日本ミシュランタイヤ 太田サイト。日本ミシュランタイヤは、このSSPの活動へのスポンサー企業のひとつとしてだけでなく、これまでの体験走行会でもボランティアスタッフを派遣してきた。今回、その社内イベントである「わくわくフェスティバル 2〇22」とジョイントする形で、パラモトライダー体験走行会をこの太田サイト内で行うこととなったのだ。
「わくわくフェスティバル2022」は、“We are 〇ne MICHELIN ~つなげよう、わくわくの輪~”をスローガンに、ミシュランのビジョンや活動を深く知り、社員同士の交流を深めるために開催されたもの。新製品やソリューション、そしてレーシングカーの展示、金属積層造形アトリエの見学やワークショップなどが行われた。「初回となる本年は 、社員イベントとして開催しましたが、群馬県太田市に本社を移転する来年以降は、より開かれた開催も検討していきます」と日本ミシュランタイヤの須藤 元・代表取締役社長はコメントしている。
無事に運転ができると大きな拍手が沸き上がった
当初は5名の障がい者の参加を予定していたものの、2名がコロナ感染により参加辞退ということで、今回は3名が参加。これにSSP専属パラモトライダーである青木拓磨氏も入って、SSPテクニカルアドバイザー青木宣篤氏とともに青木三兄弟も勢ぞろいした。
今回はミシュランの社内イベントということもあって、ボランティアスタッフは日本ミシュランタイヤ社員を中心に募集。体験走行会のボランティア初体験の方が多かったものの、すでにSSPでのボランティア経験者とSSPベテランスタッフが指導しながらパラモトライダーをサポートした。
参加者は視覚障がい、右半身麻痺、下半身不随とその障がいもさまざま。初参加のパラモトライダーもいたものの、無事に運転ができ、大きな拍手が沸き上がった。またステップアップの練習のあと、大型車両を使い敷地内外周路に出ての走行も楽しんだ。また、この「わくわくフェスティバル」のプログラムのひとつである、積層造形技術(金属3Dプリンター)の新施設「ミシュラン AMアトリエ」の見学はSSP参加者にも許され、ミシュランタイヤの新しい技術の一端を感じることもできた。
次回のSSPパラモトライダー体験走行会は、2022年10月30日(日)に静岡県・富士スピードウェイで、MV Agusta Japanが主催する「MOTO GENERATIONS in FUJI SPEEDWAY 2022」とコラボレーション。健常者との混走でサーキット走行を予定している。