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大ヒットした三菱「コルト ギャラン」はジウジアーロのデザイン!? ラリーで大活躍したマシンを見せます!

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TEXT: 原田 了(HARADA Ryo)  PHOTO: 三菱自動車/原田 了

高いパフォーマンスを活かして海外ラリーでも大活躍しランサーにバトンタッチ

 コルト ギャランは、新開発の“サターン・エンジン”を、軽量化を追求したボディに搭載していたことで、コルト1500に比べて大きくパフォーマンスが引き上げられていました。そこで三菱では、このコルト ギャランをモータースポーツに投入することにしたのです。

 参戦したのは1960年代半ばごろよりコルト1000Fや1100Fで参戦してきた海外ラリーでした。1967年にオーストラリアで開催されたサザンクロス・インターナショナルラリーに参戦したコルト1000Fは、コリン・ボンド組が総合4位/クラス優勝を飾るとともに、ダグ・スチュワートもクラス3位入賞を果たすなど、デビュー戦とは思えない好成績を残しています。

 その後も新たな主戦マシンを次々と投入し、同ラリーに挑戦を続けることになり、1968年にはコルト1100Fでコリン・ボンド組が総合3位、1969年にはコルト1500SSで、やはりコリン・ボンド組が総合3位。1970年はコルト1100SSでバリー・ロイド組が総合7位にとどまりましたが、翌1971年には期待を背負ってコルト ギャランAII GSが実戦デビューを果たすことになりました。

 これがサザンクロス初出場となるギャランでしたが、期待に応える見事なパフォーマンスを発揮、終盤まで1-2をキープし続けていました。しかし大詰めに来て、コースに隠れた岩にサスペンションを強打するなどアクシデントに見舞われてしまい、結果的にはバリー・ファーガソン組が総合3位、エドガー・ハーマン組が総合4位に留まり、ホールデン・トラーナに1-2フィニッシュを許してしまいました。

 それでも排気量が2倍(ホールデン・トラーナGTR XU-1は3L直6を搭載)もあるトラーナを相手に見事なパフォーマンスを見せつけたことで、ファンの間では翌年からの活躍に一層期待が高まっていったのです。

 三菱は、そんなファンの期待に応えるべく、1972年のサザンクロスには排気量を1.5Lから1.6Lに拡大した2台のギャラン16L GSに加えて、2台のギャランGTO 17Xを新規開発して投入することになりました。ともに“サターン・エンジン”を搭載していましたが、ギャラン16L GSが搭載していた1598ccの4G32ユニットは140psまで、ギャランGTO 17Xが搭載していた1750ccキットを組み込んだ4G35C-IIIユニットは165psまでチューニングされています。

 その一方でシャシーに関しては、これが2度目の参戦となるギャラン16L GSの方が熟成が進んでいることもあって、トータルでの戦闘力はギャラン16L GSに分があると判断されました。それを裏付けるように、この年三菱がエースとして招聘したトップドライバー、のちにラリーアート・ヨーロッパの代表として活躍することになるアンドリュー・コーワンは、ギャラン16L GSをドライブすることになります。

 この年の最大のライバルは、三菱と同様に日本から参戦してきた日産のダットサン240Z。このクルマ自体はまだまだ開発途上でもありましたが、熟成を重ねてきたブルーバードP510とはパーツの連携もあり、実際に2.4LのL24ユニットは、すでに200psオーバーを謳っていました。

 しかし、トータルの性能ではギャラン16L GSの方が少し勝っていたようです。実際、競技が始まってみるとコーワンのギャラン16L GSと日産ワークス、ラウノ・アルトーネンのダットサン240Zが激しくトップを争うことになっていき、最後は互いにトラブルを抱えながらの“手負いのバトル”となっていきます。

 そしてクラッチやブレーキに多くのトラブルを抱えながらもコーワンは最後まで力走。タイヤトラブルに泣いたアルトーネンに24分もの大差をつけてトップチェッカー。三菱の悲願だったサザンクロス制覇をもたらしたのです。

 翌1973年から1976年まではギャラン16L GSの後継マシンとなるランサー1600GSRがサザンクロスに挑戦し、アンドリュー・コーワンのドライブで4連勝(1972年のギャラン16L GSの初優勝を合わせて5連勝)を飾っているために、ギャラン16L GSの印象が薄くなっていることは否定できませんが、ランサー1600GSRの活躍も、ギャラン16L GSで培ったノウハウが大きくものを言っているのは事実。その偉大なる存在感は圧倒的でした。今見ても新鮮なスタイリングも含めて記憶に残る1台です。

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  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • 原田 了(HARADA Ryo)
  • ライター。現在の愛車は、SUBARU R1、Honda GB250 クラブマン、Honda Lead 125。クルマに関わる、ありとあらゆることの探訪が趣味。1955年、岡山県倉敷市生まれ。モータースポーツ専門誌の地方通信員として高校時代にレース取材を開始。大学卒業後、就職して同誌の編集部に配属。10年間のサラリーマン生活を経て90年4月からフリーランスに。モータースポーツ関連の執筆に加え、オートキャンプからヒストリックカーイベントまで幅広く取材。現在ではAMWに、主にヒストリー関連コラムを執筆。またライフワークとなった世界中の自動車博物館歴訪を続け、様々な媒体に紹介記事を寄稿している。
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