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「ディノ」や「73カレラ」に「2000GT」まで! 60台の名車が集まったイベント「マリンGP」とは

往時のトヨタの技術力の高さを物語るヨタハチや2000GTもギャラリーを歓ばせた

五感を刺激する極上のクルマ旅を体験できるMARINE GP

 旧車の人気がいまだ衰えない状況の中で、相変わらずクラシックカー関連のイベントも活況だ。なかでもクルマ旅の要素が強いクラシックカーラリーが人気で、ビギナーからベテランまでが愉しんでいる。

 毎月、日本全国で開催されているが、去る2022年10月9日には愛知県を舞台とした秋のスペシャル1Dayイベントとして「MARINE GP」が行われた。街・海・車・船を愉しむ、お洒落で真面目な大人の遊びとして実施されている当イベントは、クラシックカーから現代のクルマまでという幅広い年式のクルマが参加できるクラシックカーラリーだ。伝統あるクルマ文化と地域文化の融合を目的のひとつとした新しいスタイルのカーラリーで、五感を刺激する極上のクルマ旅を体験できる点がポイントである。

誰もが参加しやすいイベントとしてスタート

 かつて中部地方と三重県および滋賀県を舞台として開催されていたヒストリックカーミーティングの精神を受け継ぐ後継イベントでもあるので、古くからのラリーストも参戦。それに加え、今回はスーパーGTで活躍している織戸 学選手夫妻、レーシングプロジェクトバンドウの坂東正敬監督、全日本女子バスケットボール日本代表の馬瓜エブリンさんらをはじめとする60台がエントリーした。

 ちなみに、以前ヒストリックカーミーティング実行委員会が実施していたイベントは、名古屋クラシックツアー、ヒストリックカーミーティング、ジャパンクラシックツアーという3タイプで、いずれも「大切な人と共に大切なクルマで旅へ出る」というコンセプトを掲げていた。

 しかし、ヒストリックカーミーティング実行委員会の事務局長であり、誰よりもクルマ旅の楽しさを知っていた天野正治氏が2018年2月に永眠。それ以降、名古屋クラシックツアー、ヒストリックカーミーティング、ジャパンクラシックツアーが開催されることはなかった。

 その後、天野氏が好きだった桜をタイトルとして、故人の遺志を受け継いだイベントとして“Sakura Rally”が企画され、かつての運営スタッフの有志たちが2020年4月の開催に向けて動き出した。だが、結局2020年のSakura Rallyは新型コロナウイルス感染症拡大の影響で中止となり、翌年の4月に再び行われる予定だったSakura Rallyもコロナ禍により開催を断念せざるをえなかった。そのような状況の中で秋のラリーとしてMARINE GPの実施が模索され、2021年10月3日に参加者全員が抗原検査を行うといった感染対策を施しつつ、55台の新旧名車を集めて開催されたのであった。

 MARINE GP実行委員会 事務局長の磯部氏によると、参加しやすいイベントとしてスタートし、次第に競技性や格式を高めていきたいと考えているそうだ。開催エリアの地域文化に触れつつ、地域貢献のひとつとしてチャリティ募金を行うことも大切にしており、今回のMARINE GPでは名古屋市社会福祉協議会に寄付金を謹呈。児童養護施設の子どもたちが運転免許を取得する際に寄付金が活用されるそうだ。

ファミリーやカップルや女性同士でもイベントを楽しむことができる

 クラシックカーラリーは、決められた区間を決められた時間で、どれだけ正確に走行できるのかを競う線踏み競技(=1000分の1秒単位で計測するPC競技。基準タイム走行とも呼ばれる)で獲得した点数にて順位をつけている。ラリーという名のイベントだが、速く走った者が勝つわけではない。

 またクラシックカーラリーでは、線踏み競技だけでなく、走行ルートが記されたコマ図(マップ)上のチェックポイント認証による公道走行(=スタンプシートの提出)や指定速度競技(アベレージ走行)のほか、CO競技(ルートブックに記載された指定時刻に前輪で計測ラインを踏みながら通過し、その誤差を競う)なども実施されるのが通例。だが、既述したようにMARINE GPは“参加しやすいイベントとしてスタート”したので、線踏み競技だけが実施された。そのうち、さまざまな競技が盛り込まれ、より難易度が増していくことになるだろう。

 今回の走行ルートは、名古屋市役所(集合場所/スタート地点)→ゆめくりん(PC競技会場/知多南部広域環境センター)→マルハリゾート(昼食会場)→内海海岸(PC競技会場)→NTP マリーナりんくう(PC競技会場/ゴール/表彰式会場)というものであった。

 かつて開催されていた名古屋クラシックツアー、ヒストリックカーミーティング、ジャパンクラシックツアーは、大切なパートナーを大切なクルマに乗せて参加してもよし、ファミリーで参加してもよし、というスタイルのイベントだった。それでいて、競技性の高さを維持しながら、地域文化や名所に触れることができる旅の要素やエンターテイメント性も高められており、イベントの独自性が確立されていた。

 そして、男性陣だけが自動車趣味に没頭するのではなく、ファミリーやカップルでイベントを楽しむことをモットーにしていた天野氏のイベントでは、女性が主役とばかりに毎回さまざまなプレゼントが用意されていたことも印象的だった。それとまったく同じことをやるのは難しいが、偉大なる故人の遺志を受け継いだイベントとして、MARINE GPには今後も大いに期待したいと思う。

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