似て非なる2台のジープ「J53」と「J55」が一緒にエントリー
2022年9月17~18日に、富士山麓のスタックランドファームオフロードコースで開催された「ジープジャンボリー」。会場では魅力たっぷりのジープとオーナーたちに出会うことができた。今回は、一緒にエントリーしていた「J53」と「J55」の2台ジープ乗り仲間をご紹介。
2台連れ立ってやって来た昭和と平成の三菱ジープ
富士山麓で2022年9月に開催されたジープジャンボリーには、2日間で延べ72台のジープが全国から集結した。そこで出会ったのが、1988年式の「J53」と1995年式の「J55」で連れ立ってエントリーしていた2台。オーナーは親子ほども年の差がありそうな男女で、いずれも綺麗にレストアが施され、状態も良い。
せっかくJ53とJ55が並んだので、2台の違いを検証してみよう。J53とJ55はいずれもショートホイールベースのシャシーに幌型ボディを搭載した車両だ。J53型は三菱パジェロの登場によって大幅にラインアップが整理された後の1986年に登場したモデルで、4DR6型直噴ディーゼルターボエンジンを搭載し、シリーズ初の過給エンジン搭載モデルとなった。
一方のJ55型は、NOx規制に対応すべくJ53の改良版として1994年に登場。エンジンは4DR5型過流室式インタークーラーターボを搭載し、NOxを低減している。外観上の違いは決して多くなく、正面から見た場合、グリル内にインタークーラーが見えるのがJ55。またフロントワイパーがJ53が2本なのに対してJ55は3本ある点などが挙げられる。
レディースオーナーが乗るのは彼氏の子どもの頃の思い出の1台
女性オーナー、「ゆん」さんが乗るJ53は、じつは彼氏の父がかつて乗っていた車両だ。20年以上放置されていた車両を彼氏がコツコツレストアして、昨年末に完成。この春ようやく車検を取得したばかりという思い出の個体なのだ。
ところが、その彼氏は路上復帰を見ることなくこの世を去ってしまう。そこで完成したジープを彼氏の意志を受け継ぎ、ゆんさんが代理でドライブしているというわけだ。ゆんさんもオフロード好きで、長年ジムニーに乗っていた経験があり、こういったマニュアルシフトの車両も難なく乗りこなせるという。
2台のジープが連れ立ってエントリーしたわけとは?
一方、ペンネーム「おじさん」が乗るのは、1995年式のJ55。種明かしをしてしまうと、おじさんは、ゆんさんの彼氏のお父さん。つまりJ53の元オーナーというわけだ。息子さんがコツコツかつてのファミリーカーをレストアしている姿を見て、ジープ熱が再発してしまったおじさんは、なんとこのJ55を今年初頭に購入したばかり。ふたたびジープのオーナーにカムバックを果たしたというわけだ。
そして2022年9月、ゆんさんとおじさんはふたりで、若くして旅立ってしまった彼氏が待ち望んでいたジープジャンボリーに連れ立ってエントリーしたのだった。ひとりの青年が遺したジープへの思いをそれぞれの形で引き継いだ2人のジープ乗り。2台のジープが末永く残っていくことを祈りたい。