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日産新型「エクストレイル」に1200km試乗! 「第2世代e-POWER」の肝は可変圧縮比エンジンにありました

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TEXT: 斎藤慎輔(SAITO Shinsuke)  PHOTO: 神村 聖

9年ぶりの新型で走りに上質感を加えた「タフギア」

 日産の新型「エクストレイル」は9年ぶりのモデルチェンジとなる。通常なら発売から6年も経てばモデル末期と捉えられるなかで、先代は激戦のSUV市場でも、それほど陳腐化も感じさせずによく闘い抜いてきたものだ。それだけ、商品としては完成されていたのかもしれないが、この9年の間の技術革新は著しく、ニーズの中身も大きく変化してきている。

「技術の日産」渾身の可変圧縮比エンジン「VCターボ」

 北米(車名はローグとなる)や中国では先行して発売されていたことから、姿形は知られるところだったが、国内向けはパワートレーンが「e-POWER(イーパワー)」1種であることが大きく異なる。「e-POWER」は、エンジン自体で車輪を駆動することなく、エンジンは発電機としてのみ使ってモーターで駆動するシリーズハイブリッド方式なので、エンジンは影の存在にも近い。けれども、今回は新開発の「KR15DDT型」エンジンならではの、これまでの「e-POWER」をはるかに超えた、電動駆動ならではのスムースさ、心地よさに加えて、ゆとりある走りを実現してきている。日産がこれを「第2世代e-POWER」と呼んでいるのも納得できるというものだ。

 このエンジン、3気筒1.5Lと小排気量だが最大の特徴は「VCターボ」にある。VC(Variable Compression)は可変圧縮比のことで、近年までエンジン技術者にとって夢のエンジンとまで言われてきたもの。メカニズムの説明は省くが、圧縮比をエンジンの負荷状況に応じて変化させる(このエンジンの場合は8~14)ことが可能となって、低負荷から高負荷域まで高効率の発電機としての性能を発揮する。

パワフルな駆動用モーターを備えた「e-4ORCE」

 新型エクストレイルには、前輪駆動の2WDと、「e-4ORCE(イーフォース)」と呼ぶ4WDが設定されるが、試乗できたのはe-4ORCEのほう。これまで試乗会のほか、数日間手元に置いての100km少々の日常走行や、さらには内外装に専用の華飾を施したオーテック仕様では延べ1100kmほどの長距離試乗も行う機会も得ており、実燃費を含めて、いろいろと分かってきた。

 見ても乗っても、まず感じるのは、随分と立派になったということ。日産ではコンセプトの中に「上質」を加えているが、そこはまさに狙い通りである。ボディもひと回り大きくなったなと感じていたら、全幅は先代より20mm増えているものの、全長は30mm短く、全高も20mm低いのだった。視覚的にもしっかりボリューム感をもたらす造形なのである。

 e-4ORCEの走りが頼もしいのは、VCターボエンジンに加えて、前後の駆動用モーターが強力なことにある。フロント用は最高出力150kW/最大トルク330Nm、リヤ用が100kW/195Nmだ。とくにリヤ用モーターは、例えば同クラスのトヨタ「RAV4ハイブリッド」(PHEV含む)の4WDのリヤモーターの40kW/121Nmという性能に対しても圧倒的にパワフルである。ここは高い速度領域や高負荷域までの追従性、厳しい路面環境下での走破性に差がつく要素となる。

発電時の「ブブーン」音が気にならなくなった

 それにしてもこのVCターボエンジンは、3気筒とは思えないほどに振動が小さく、なめらかな回り方をする。最高出力(144ps)や最大トルク(250Nm)も排気量のわりに高く余裕も大きいので、高速域の連続走行時や、登坂が長く続くような状況でも高回転を保ち続けるようなことが少なく、うるさいと思わせるような音を室内に届けることがない。

 むしろ気になるのは、とくにリヤまわりから響いて全体を覆う感じとなるロードノイズのほうで、路面によっては後席に座る人との会話がスムースに成りたたないことも何度か経験した。ここはちょっと惜しいところではあるのだが、通常のエンジン作動頻度を下げる代わりに、このロードノイズが高い状況では、エンジンも聞こえにくくなるということを利用し、エンジンを積極的に回して発電させるといった制御も行っている。これは新型「ノートe-POWER」でも取り入られているもので、なるほどよく考えられた手法だ。

 このおかげで、ハイブリッド車の気になるところのひとつでもある、それまで静かだったのに、エンジンが始動して急に騒々しくなる現象は、駆動用バッテリー容量が低下している状況での低速あるいは街中の走行域や、エアコンオンの状態のまましばらく停車している際などに限られていた。

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