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日産「マーチ」最後のホットモデル「ニスモS」に注目! 70万円程度で手に入る初期型をカスタムして楽しもう

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: 日産自動車/AMW編集部

  • マーチニスモSの走り

  • マーチニスモSの専用エンジン
  • マーチニスモSの走り

モータースポーツも支えた人気コンパクトが終焉

 1982年に初代モデルのK10型がデビューして以来、日本を代表するコンパクトカーであり続けた日産マーチ。しかしながら2022年での販売終了がアナウンスされ、惜しまれつつも40年の歴史に幕を下ろすことになる。

 扱いやすいサイズは日本のみならずヨーロッパでも人気を博し、3代目のK12型までは全国でワンメイクレースが開催されるなど、日産の入門モータースポーツを支えるベース車としての顔もあった。K10型のターボとスーパーチャージャーを装備した「スーパーターボ」や、K12型のエンジンや足をチューニングした「12SR」などホットモデルも多かったが、最後を飾るのがK13型で2013年に追加ラインアップされた「NISMO S」だ。

ニスモが手がけたコンプリートカーにはこだわり満載

 現行のスポーツコンパクトといえば真っ先にスズキ・スイフトスポーツを思い浮かべるが、ニスモのコンプリートカーである「NISMO S」も決して負けてはいない。日産のレース活動を支えるニスモのノウハウを結集した、名作ホットハッチのディテールに迫ってみたい。

 通常のK13型マーチと最大の相違点は1.5LのHR15DEエンジン。専用プロフィールのカムに加えて10.5の圧縮比、排気系やECUも変更し116ps/156Nmを絞り出す。通常グレードはモチロン、同じコンプリートカーである「NISMO」は1.2Lと、排気量で300ccの違いがあり、出力は79ps/106Nmと雲泥の差だ。

マーチニスモSの専用エンジン

 サスペンションは車高調こそ採用していないものの、パワーアップしたエンジンに合わせてチューニング。狙いどおりのラインをトレースできる素直な操縦性で、スタビライザーの追加やタイヤのサイズアップと併せて、ステアリングのギヤ比までクイックに変更されている。

 引き締めた足まわりからの入力を受け止めるボディも、重量増とのバランスを考慮しながら補強バーを追加。マーチの強い武器である軽さはまったくスポイルされておらず、5速MTを駆使して意のままに操る楽しさを満喫できるのだ。

内外装もレースで得たノウハウが注ぎ込まれる

 外装と内装も通常グレードにはない「NISMO S」だけの装備が満載。スーパーGTで培ったエアロダイナミクスのデータを活かし、大きなダウンフォースを発生させるフロントバンパーや、空気抵抗を軽減するルーフスポイラーなどを装備している。

 操作系はホールド性と快適性を両立した専用スポーツシート、質感の高い本革とアルカンターラを組み合わせたステアリング。ほかにも車線逸脱警報をはじめとするベース車の標準装備を簡略化するなど、細部に至るまで走りに特化した作り込みはさすがニスモというべきだろう。

* * *

 なおメーカー希望小売価格は187万6600円だが、中古車は決して多くないものの、初期型なら70万円から流通している。サーキットに備えて車高調とブレーキパッドを追加しても、100万円ほどで楽しく遊べるクルマに仕上がるはずだ。マーチ最後のホットモデルになる可能性が高いことを含め、コンパクトカー好きは「NISMO S」に注目すべし!

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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