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激レア9台限定! ザガートが手掛けたベントレーがありました。新車当時1億円オーバーだったカルトカーの落札価格は?

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TEXT: 武田公実(TAKEDA Hiromi)  PHOTO: Courtesy of RM Sotheby's

世界限定9台のベントレーは、5000万円超で落札!

 今回、RMサザビーズ「St. Moritz」オークションに出品されたベントレー・コンチネンタルGTザガートは、2007年12月にモナコのDPMモータースから供給されたシャシーナンバー「#053420」のコンチネンタルGTスピードをドナー車両とした。

 コンチネンタルGTスピードは、コンチネンタルGTの高性能バージョン。初代ではGTから40psアップの600psをマークした。さらに「#053420」はカーボンセラミックのディスクブレーキや20インチのアロイホイールなどの魅力的なオプション満載でオーダーされたことから、当時GTのベーシック価格が11万ユーロ〜だったのに対して、車両価格とオプション合わせて約22万7700ユーロで販売されたことが判明している。

 さらにザガートでは、GTザガートの改装費用を41万5000ユーロとしていたので、もしも同等のものを新車から製作するなら、総計64万ユーロ以上の支払いが必要だったことになる。

 今回の出品車両は2015年2月に、現在のオーナーのもとへ量産版GTスピードの状態で引き渡されたのだが、その時点での走行距離はわずか3050km。そしてこの時点で、ザガートはまだコンチネンタルGTザガート製作の受付を締め切っていなかったようだ。

 そこで究極のエクスクルーシヴ性を求めていた現オーナーは、イタリアのザガートに直接コンタクトを取り、自身のGTスピードをGTザガートに作り直してもらうことにした。そして、2008年のジュネーヴ・ショーにおける初公開以来、ミラノの伝説的カロッツェリアが再構築したわずか9台のコンチネンタルGTのうちの1台は、じつに見事なスペシャルモデルに仕上がったのだ。

 ザガートで長らくチーフスタイリストの地位にある原田則彦氏が提唱した「ダブルバブル」のルーフラインなど、ザガートの伝統的トレードマークを取り入れたこのベントレーは、2016年春にコンバージョンを完了させて以来、じつはまったくの未使用。オークションカタログ作成時の走行距離はわずか5000kmに過ぎないという。

 また、ボディを再架装する際に、もちろんベアメタルまで剥離して再塗装が施されているため、当然のことながら全体的に極上のコンディションを保っているようだ。また、付属品やドキュメント類も完備した状態であり、まさにブランニューの状態といえるだろう。

希少性から見たらお買い得の落札価格

 世界限定9台という超レア車、しかもベントレー×ザガートという英伊の2大巨頭によるコラボ作品は、少なくとも現時点ではこのコンチネンタルGTザガートのみという歴史的事実。あるいは新車として製作するなら、1台1億円も超えそうだった製作費用を思えば、かなりの高価格で落札されるものと予想していた。

 ところが実際に行われた競売では34万2500スイスフラン、つまり日本円に換算すれば約5060万円という、ベントレーもザガートも好きな筆者の私見では、少々微妙にも感じる金額での落札となったのだ。

 それでも、現在のユーズドカー市場における初代コンチネンタルGTの販売価格が、たとえ最高のコンディションにあっても1000万円に及ばないことを考慮すれば、充分以上に高価になったともいえるのだろう。

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  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 武田公実(TAKEDA Hiromi)
  • 1967年生まれ。かつてロールス・ロイス/ベントレー、フェラーリの日本総代理店だったコーンズ&カンパニー・リミテッド(現コーンズ・モーターズ)で営業・広報を務めたのちイタリアに渡る。帰国後は旧ブガッティ社日本事務所、都内のクラシックカー専門店などでの勤務を経て、2001年以降は自動車ライターおよび翻訳者として活動中。また「東京コンクール・デレガンス」「浅間ヒルクライム」などの自動車イベントでも立ち上げの段階から関与したほか、自動車博物館「ワクイミュージアム(埼玉県加須市)」では2008年の開館からキュレーションを担当している。
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