「EQS」に最初に手を加えたのは「ブラバス」
メルセデス・ベンツに新たに誕生した「EQ」は、これから先の脱炭素社会を担う電動車(BEV)に特化したサブ・ブランド。そのEQブランドに早くもチューニングの手を加えたのはブラバスで、今回はEQシリーズの最上級モデルに相当する──簡単に説明するならばこれまでのSクラスのBEVともいえる「EQS」をベースに、独自のチューニングを展開してきた。
世界最高水準のエアロダイナミクスに挑戦
メルセデスEQによれば、そもそも工場出荷の段階でEQSは世界でもっとも優秀なエアロダイナミクスを実現したクルマのひとつにあげられるという。それはとくに高速道路の走行時に、電費を稼ぐにはもっとも有効な手段であり、オーナーにとってもエアロダイナミクスの優秀性は、新車購入時には最大航続距離と同時に大きな購入動機になる。
EQSのボディは、確かにその点においては多くのオーナーを獲得する魅力を秘めたモデルといえるだろう。サイドビューからは、もはやフロントにエンジンなど搭載されていないことは明白であるし、それによって4ドアセダンのデザインが新しい時代を迎えたことも理解できる。
だがブラバスはさらにEQSのエアロダイナミクスを高性能なものへとチューニングすることを決意する。1985年当時、ミディアム・クラスと呼ばれていたW124型セダンをベースに、Cd値で0.26という世界最高性能を樹立し、ギネスブックにも登録されたこともあるブラバスにとって、このEQSのチューニングは、この時と同じ壮大な挑戦だったに違いない。