バーチャルだけじゃなくリアルなレースにも参戦開始
自動車部品やモータースポーツ部品を手がける「SPK」はeスポーツ事業に力を入れており、モータースポーツの振興につなげようとしている。そして2022年の今シーズンからは、いよいよ“バーチャル”に加えて“リアル”の世界にも本格的に進出開始。eスポーツ大会に参戦したマシンと同じカラーリングのマツダ・ロードスターに、eスポーツと同一のドライバーを起用するというユニークなパッケージで、パーティレース東日本シリーズへの参戦している。
参戦マシンはもちろんバーチャルと同じカラーリング
今や世界では、バーチャルのeスポーツ出身者が実車を使ったリアルのレースシーンでも目覚ましい活躍を見せている。もちろん日本でも数名のプレーヤーが、スーパーGTなどへのステップアップを実現。すでにバーチャルの領域で成果を挙げたSPKもその道筋を作れないかと模索した結果、「ロードスター・パーティレースIII」に白羽の矢を立てた。
このパーティレースは、今年で20周年を迎える人気のJAF公認ナンバー付きワンメイクレース。さらに、SPK e-SPORT Racing所属の中島優太監督・
そこで2名のうち、菅原選手をリアルのレースでもドライバーとして起用。マシンはTCR JAPAN所有の1台をSPKのワークスカーとして新たにメイキングしている。ご覧の通り、eスポーツのマシンと同じカラーリングを施した、105号車の実車が誕生した。つまりeスポーツと同じカラーリングのロードスターに、同一のドライバーでの参戦を実現したのだ。バーチャルとリアルの融合にトコトンこだわったところが、このチームの最大の注目ポイントだろう。
実走行はほぼ皆無ながら驚くべき速さを見せつける
今年4月に社会人となったばかりの菅原選手は25歳。eスポーツレーサーとしては実績十分で、SPKチームでもエースのひとりだ。ただ、小学生時代からカートに乗っていたというキャリアの持ち主も多いリアルの世界では、遅咲きの部類に入る。リアルへの初参戦は2020年10月で、それまでのサーキット走行経験はわずかに3回程度。でも逆の見方をすれば、eスポーツレーサーがリアルの世界に飛び込んで、果たしてどこまで活躍できるかのモデルケースとして、彼は最適な存在とも言える。
今シーズンの参戦予定は茨城県の筑波サーキットで開催される東日本NDシリーズの全4戦。すでに3戦が終了し、残すは10月30日(土)の最終戦のみだ。結果から先に言うと、初戦は予選7位から決勝は5位にジャンプアップ。第2戦は予選・決勝とも4位を獲得している。9月3日(土)に開催された第3戦では、予選でトップタイムを記録し、見事ポールポジションを獲得。決勝では惜しくも3位となり、初表彰台は少し悔しい結果となった。
一方、SPK e-SPORT Racing所属の中島選手は、この第3戦NCクラスにて、見事ポールトゥウィンで初優勝を飾った。
菅原選手はプライベート参戦だった昨年から参加したシリーズ6戦で入賞(JAF規定により、決勝の出走が12台以上なら6位まで)を継続中というのは、大健闘と言える。筑波サーキットで行われるこの東日本NDシリーズは、パーティレース発祥の地として、経験豊富な実力者たちが目白押しだからだ。ただ菅原選手はもちろん、彼を支えるチームの目標はもっと高いところにある。
菅原選手は「まず何より、
このレースでかつて連戦連勝を誇り、現在はインストラクターも務めているTCR-JAPANの加藤彰彬代表も「バーチャルからの移行で一番の違いとして、タイヤのグリップ感があります。その点でパーティレースの指定タイヤはハードルが比較的低いことも、今回の参戦カテゴリー選択での決め手になっています。もちろん菅原選手にはリアルアスリートとしてのトレーニングなど課題はありますが、すでに優勝できる力はあります。eスポーツレーサーの未来のためにも期待しています」とエールを送っている。