ロワードしたハイエースのブレーキ補正パーツの働きとは?
しかし、この装置は比較的原始的な構造で作動している。デフとボディを結ぶロッドを配置してそこにバルブを設置。荷物を積み込んで車高が下がる(デフとホーシングが車体側に近づく)と、このロッドが押されてバルブを作動させることで、リヤブレーキの調整しているのが基本的な仕組みだ。
もちろん純正状態(ノーマル車高)では正しく作動するので問題ないのだが、困るのはカスタマイズをして車高を落としたとき(ロワード時)。ロワリングブロックを使ってリヤを下げると、デフ&ホーシングは車体側に近づくことになる。つまりプロポーショニングバルブから見ると、荷物が積載されて車高が下がったのだと認識してしまうのだ。
こうなるとセンサーが正しく働かずブレーキバランスに異常が起きてしまう。この状態では、空荷であってもブレーキが利き過ぎてリヤブレーキの働きが過敏になってしまう。とくに空荷の状態でブレーキを強く踏んでしまうと過剰に利くリヤブレーキがロックしてしまい、ABSが早期に作動するなんてことも起きかねない。これによって制動距離が逆に伸びてしまう危険もはらむのだ。
ではこの状態を改善させることはできないのだろうか? このシステムはバルブを作動させているロッドにネジが切ってあって作動領域を調整することができる(積載量に対してブレーキの効き具合を微調整できる)ので、ある程度の車高の上下には対応できる。しかし大きくロワードすると、この調整可能範囲を超えてしまって、適正値に設定することができなくなってしまうのだ。つまりロワードすると空荷でもリヤブレーキが利き過ぎた状態が続いてしまうことになる。
ハードに落としたクルマでも補正ブラケットの装着で対策することが可能だ!
しかし心配は無用だ。ヘビーなロワードユーザーに向けた対策部品が社外品としてパーツメーカー各社からちゃんと用意されている。プロポーショニングバルブ補正キット/補正ブラケット/補正ロッドなどと呼ばれる補正パーツがそれで、その名の通りプロポーショニングバルブの作動領域を補正して、ロワードした分のプロポーショニングバルブの作動領域を調整、リヤブレーキの利きを適性値に戻すことができるのだ。ごく簡単なステー形状のパーツなのでかなりお手軽価格(800円〜3000円程度)で買えるのも魅力だろう。
* * *
ハイエースを購入してロワードしてホイールも替えて、カッコ良くドレスアップしたいと思っているユーザーは、安全性と乗りやすさを考慮して、この補正パーツを取り付ける必要性を憶えておくといいだろう。また現時点でロワードしていてブレ-キの利きに違和感を憶えているユーザーは、いますぐ補正パーツの導入を実施したい。