幼少期からカートをやってなくてもプロになる道はある
レーシングドライバーと言えば、幼少のみぎりからレーシングカートに乗り始め、徐々に大きな乗り物になっていくのが現在の王道ストーリー。しかし、そうではないレーサーも存在する。そう、それがドリキンこと土屋圭市であり、谷口信輝であり、今回の主人公である佐々木雅弘なのだ!
片山右京、ドリキン、谷口信輝……偉大な先達は多い
現代のフォーミュラで戦うレーサーは、ほぼ100%カートあがり。幼少期からレーシングカートに乗り、そこからF4やFJなどにステップアップし、F3を経て、F1やスーパーフォーミュラに乗るドライバーがほとんどだ。免許を取ってから運転し始めたのでは、なかなか厳しいものがある。近年でカートを経験せずにF1に乗ったドライバーはロシア人のヴィタリー・ペトロフだけだったハズ。
しかし、18歳で運転免許を取得してからレーサーになった人もじつは多い! F1は厳しいかもしれないが、まだまだ諦めたものではない。実際、結構前のことになるが、片山右京さんは普通免許取得後にレースを始めてF1まで乗っている。
ご存知「ドリキン」こと土屋圭市さんは、峠で腕を磨き、そこからワンメイクレースなどを経てレーサーになった。谷口信輝選手もBMXからポケバイでの経験を経て、ドリフトコンテストで活躍し、そこからレーサーへ。本格的にレースを始めたのは28歳だった。
先日なくなられたアントニオ猪木さんも「人は挑戦を諦めた時に老いていく」と説いていたとおり、いまからでも間に合うのだ。
メカニックとして働きながらレーサーになった佐々木雅弘選手
TOYOTA GAZOO Racingでニュル24時間に参戦するなど国内外のレースで活躍しながら、「GR86」の車両開発を務めた佐々木雅弘選手(47歳)も、非カート系レーシングドライバーのひとり。どのようにレーシングドライバーになったのかを伺ってみた。
学生時代からバイクに乗り、地元・盛岡の峠を走っていたという佐々木選手。高校卒業後は自動車整備学校に進学し、卒業後は三菱のディーラーにメカニックとして就職する。そこでランエボを購入して、業務後にせっせとチューニングやセッティングに励み、スポーツランドSUGOの草レースに参戦したのがレースデビューで、21歳のときだった。
そこからシビック・ワンメイクレース東北シリーズに参戦。このときで26~27歳。アルテッツァ・ワンメイクレースでチャンピオンに輝いたときは30歳だった。その後、スーパー耐久、スーパーGTなどビッグレースに参戦していく。遅咲きのレーサーである。