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【実走2000キロ試乗】元「ビート」乗りがホンダ「S660」を試す! 最終進化形「バージョンZ」は大人のスポーツカーでした

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TEXT: AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)  PHOTO: AMW 竹内耕太

空力の効果を誰でもどこでも実感できる

 ところで私事ながら、数年前から小田原に住んでおり、箱根や伊豆のワインディングコースを走り込むのが、趣味でも仕事でもライフサイクルの中心となっている。と書くと、いかにもドラテク命の走り屋っぽく思われるかもしれないが、あくまでも下手の横好きレベル。サーキットの経験はほぼゼロ、ウデも反射神経もないのでタイヤが滑りはじめるような領域まで攻めない安全運転の範囲で、気持ちよく走れればいいや、な低レベルドライバーだ。ガチのカットビ系に遭遇したらスムースに道を譲るテクニックだけ上手になっている。

 ……なぜこんな話をするか? それは、こんなボンクラでも空力の効果を体感できてしまうのだ!

 モデューロXのフロントバンパーは「なんちゃって」ではない空力性能を追求した形状。パッと見で分かりにくい部分では、バンパー下面の「エアロガイドフィン」がフロア下の空気の流れを促進。ホイールアーチ前方に設けられたブーメラン形のでっぱり「エアロガイドステップ」がコーナリング初期の乱流を抑制する。リヤバンパー下部にもディフューザー形状が与えられている。リヤエンドには、ホンダ車初、なおかつ軽自動車初の「アクティブスポイラー」が装備され、70km/h以上で30mm持ち上がり、さらなるダウンフォースを稼ぐためにガーニーフラップが追加するという本格派だ。

 これら本格空力デバイスを軽自動車であるS660に装備した結果、軽くて小さいだけに、空力効果はてきめん。高速道路を走っていると接地感が頼もしく、リヤのバタつき感もなくなって、長距離クルーズがおそろしくラクになっていることに気づく。やや路面の荒れたワインディングでもピッタリと吸いつき、コーナリングをより安心してクリアできるのである。

 モデューロXに与えられた5段階の減衰力調整サスペンションも、試乗車は一番硬い「5」だったが、ガチガチに硬いわけではなく、適度にしなやかな味つけ。ホイールも単に剛性を高くするのではなく、適度にたわませることにこだわって開発されたそうだ。

 ミッドシップならではの回頭性の良さに加えて、さらに「VSA(ビークルスタビリティアシスト)」や「アジャイルハンドリングアシスト」といった電子制御で安定した走りを実現していたS660。モデューロXバージョンZではさらなる空力性能のアップとしなやかなサスペンションによって、よりオンザレールなハンドリングを実現し、ジェットコースターのような走りを安全な範囲で味わえるようになっている。

* * *

 S660のノーマル仕様はビートからあらゆる面でモダンアップデートされ、限界域を高めながらも、挙動にどこかヤンチャ坊主な部分があって、それがまた良さでもあった。最後の特別仕様、モデューロXバージョンZでは、走りにおいても内外装の質感においても、大人のスポーツカーと呼ぶべき仕上がりとなっていて、もはや軽の枠を超えたミッドシップ・ライトウェイトスポーツと言っていいだろう。

 いずれを選ぶかはお好み次第。ともあれ、最新スポーツカーの快楽を身近に味わうためだけに開発・量産されたS660という贅沢きわまる存在と、それをやってのけたホンダ&ホンダアクセスには感謝するほかない。軽規格のあるこの国に生まれてよかった! 心底そう思うのだった。

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  • AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)
  • AMW 竹内耕太(TAKEUCHI Kota)
  • 田舎の大学院で古代インドのサンスクリット語を研究していた元・学者の卵。クルマ遊びにハマって中古車販売店で1年働いた後に出版業界へ。クルマやカルチャー系の雑誌のほか、翻訳書、人文書、地図帳、写真集など手がける。クラシック・フォルクスワーゲンが趣味の中核で、愛車は1963年式カルマンギア。数年前に都内から小田原へ移住し、賃貸ガレージハウスでリモートワークしつつ、箱根や伊豆のワインディングをのんびりドライブする日々。
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