「十勝夏祭り&HKS HIPERMEETING」で北海道のクルマ好きの生態を調査!
北海道、そこは皆さんご存知のとおり、日本最北端の雪国。そんな環境でもチューニングカーでカーライフを楽しむオーナーが多数生息している。では、一面が真っ白に染まる冬場はみんなクルマをどうしているのだろうか。今回は「冬場も乗る派」の生態をチェックしてみた。
冬場の北海道は積雪の対策が切実な問題となる
サーキットを楽しもうと車高調やエアロパーツを装着したクルマだと、そのままでは雪道の走行は相当厳しいものになる。主要道路は除雪されていても、脇道に入った瞬間にエアロが割れたとか、そもそもボディ下部を擦って亀状態になってしまうこともある。そこで車高アップは必須の対策になるが、その方法にもいくつかある。
【1】車高調で車高をアップさせる
その名のとおり「車高調整式サスペンション」だけに、調整して車高を変える。もちろんそういう目的もあって車高調なわけだが、結構な手間であり、車高が大幅に変わるのでアライメントの調整は必須。自分で車高を変えたとしてアライメント調整が年2回で約6万円。交換作業までショップにお願いしたら毎年軽く10万円を超える出費になる。
【2】純正サスペンションに交換
車高調を外して、保管しておいた純正サスペンションに付け替える人も多い。冬場の融雪剤によって車高調が傷まないのがメリットだが、交換作業は当然面倒である。こちらももちろんアライメント調整は必須で、年2回交換したら10万円では収まらない。
これら足まわりの対策を施したうえで、冬場にはさらに対策することがある。まず、下まわりの対策。融雪剤によってクルマの下まわりが錆びてきてしまうのを防ぐため、テクチルなどの防錆剤を塗るなど対策が必要になる。対策なしでも数年は大丈夫だが、サブフレームに穴が開いたとか、ボディに穴が開いたなどは日常茶飯事。長く乗るなら必須の対策なのだ。
そのうえでよく聞いたのが、こまめに下まわりを洗浄すること。少しでも融雪剤を落としておくことで錆びにくくなるという。
実際に、2022年8月14日に十勝スピードウェイで開催されたイベント「十勝夏祭り&HKS HIPERMEETING」に参加した、冬でもそのまま乗る派のオーナーたちから意見を聞いた。
博士さん:フルチューンGRヤリスは車高を下げすぎずに冬も通勤!
トヨタGRヤリスをチューニングして楽しんでいる博士さん。イベンチュリのインテークでパワーを底上げし、触媒はレボリューションで排気抵抗をダウン。吸排気どちらも高効率化を図るのに合わせて、ECUはHKSのパワーエディターでブーストアップ済み。冷却系はDRLラジエーターとHKSのオイルクーラーでしっかり対策し、インタークーラーもHKSで吸気温度を下げている。
足まわりに目をやると、サスペンションはHKS HIPERMAX MAX Ⅳ SPでバネレートはF16kg/mm、R22kg/mmとハイレート。そして、タイヤはサーキットではフージャーのほぼスリックタイヤ(255/35R18)を前後とも装着する。ホイールはBBS RI-A 18×9.5J 35と、現状で可能なGRヤリスチューンとしてはフルに手が入っている。
ここまで仕上げたクルマで冬場にも乗るのが博士さんのこだわりだ。通勤もこのGRヤリスで、車高はそれほど低くないので冬場もそのまま。というか、冬場を考えて下げすぎないようにしているという。
「今年はサスペンションが錆びないようにショックにカバーをかけようかと思っています。あとはマメに洗車して汚れとか塩カルを落とすようにしています。普段タイヤはNANKAN NS-20を履いていて、それと冬場用のスタッドレスがあるので、このフージャーと合わせてタイヤ&ホイールを3セット持っていることになります」
そういったタイヤなどを置くスペースがあるのは北海道ならではかもしれないが、そもそも雪が降らなければスタッドレスタイヤは必要ないわけで、やっぱり雪国の暮らしは大変な部分もあるようだ。
カジポンさん:バカッ速アルトワークス、冬場は車高調ごと交換
カジポンさんは十勝スピードウェイで速いスズキ・アルトワークスとして、ちょっと知られた人。この日も1分43秒台で周回するという軽とは思えないタイムを連発しており、ベストタイムは1分41秒台だ。
クルマはノーマルエンジンにクルーズのオリジナルハイフロータービンを装着し、ECUもクルーズによる純正書き換えでブースト圧は1.2kg/cm2に設定。ラジエーターはノーマルで、オイルクーラーはトラスト製となっている。これはナンバープレートの背部に装着するもので、サーキットでナンバーを外せば冷却性能アップ。普段はナンバーでオーバークールを防ぐというわけだ。
サスペンションもクルーズオリジナルでF8kg/mm、R4kg/mm。ブレーキはフロントにエンドレスのキャリパーを装着する。タイヤはADVAN AD09 165/55R15でホイールはTE37KCR 15×5.5J 45という組み合わせとなる。
「このアルトワークスは通年で乗っています。冬場は純正サスペンションに戻して、車高も高くしています。そもそもスタッドレスタイヤは太くてこの車高では無理ですし、雪道はやっぱり少し高めの車高にしておきたいです。作業は自分で年に2回付け替えて、ショップでアライメント調整はやってもらっています。あとは下まわり洗浄をこまめにするようにしています」という。
ちなみにカジポンさんは排気量アップまで施した三菱ランサーエボリューション(CT9A型)も所有しており、そちらは完全夏用マシンとして冬場はガレージで眠っているとのことだ。
M先生:FFのメガーヌRSで白雪のドライブを楽しむ
ルノー・メガーヌRSでサーキットを楽しむM先生さんは、冬場はメイン車としては乗らないものの、スタッドレスタイヤは履かせている。
普段のチューニングは、ホイールはBBS RE-V7。タイヤはRE-71RSの245/40R18を前後に装着。ブレーキパッド交換、オイル交換程度で、サーキットを年に3回ほど楽しんでいるそうだ。ドレスアップは唯一、ナンバーボルトにチタン製を使っていることくらい。
「ほかにも乗るクルマはあるのですが、どうしてもってときはメガーヌに乗ります。あとは綺麗に雪が積もったとき。真っ白な雪のなかを踏みしめて走るのは、なかなか気持ち良いのであえてこれで出かけることもあります。走行して雪がバンパーなどについてエアロパーツみたいになるのもカッコいいなぁ、なんて思っちゃったりして。夜道のドライブも吹き飛んでいく雪が綺麗で気持ちいいですね」と冬でも乗る派だという。
FFレイアウトだが、よほどガチガチな路面でもなければ4WDではなくても問題なく楽しめるということで、冬場はドライブを楽しむために乗っているとのことだ。
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これらの冬対策に加えて、ボディにはガラスコーティングをすることで汚れにくくなるし、雪が積もりにくくなるのでオススメだとの声もよく聞いた。車高の問題もさることながら、愛車を長もちさせるための雪&融雪剤への対策に皆さん気を配っているのだった。