エンジン供給だけじゃない両社の関係
世界中の運転好きを魅了しているイギリスのスポーツカーメーカー「ロータス」。近年のロータス車の心臓部にはトヨタ製エンジンが搭載されていますが、その流れは21世紀に入り、「エリーゼ」がフェイズ2になってしばらくした頃から始まりました。そのため、両社の関係はエリーゼから始まったと思う人もいるかもしれませんが、じつはもっと昔から関係があったのです。
じつはロータスの株式を所有していたトヨタ
両社の関係が本格的に始まったのは1980年代。1981年に2代目へとフルモデルチェンジした「セリカXX」で、ロータスがサスペンションを中心に開発協力を行っており、ロータスの創業者でもあるコーリン・チャップマンがカタログやCMにも登場しています。以降、技術面で協力関係を築いていくことになります。
1982年の終わりにはトヨタとロータスの初の共同作品とも言える2+2のFRスポーツ、ロータス「エクセル」が登場します。このエクセルにはトランスミッションやブレーキ、ドアハンドルなどといった多くのトヨタ製パーツが使われており、先代モデルとなる「エクラ」に比べて信頼性が大きく向上したと言われています。
1983年にはトヨタがロータスに資本参加。これはロータスからの要請があったとされていて、トヨタがロータスの株式の16.5%を取得しました。その後トヨタはロータスの株式シェアを21.5%にまで増やしますが、1986年にGMがロータスを買収したことにより、ロータスの株は100%GMのものとなります。
しかし、ロータスとトヨタの関係性がまったくなくなったというわけではなく、ロータスはトヨタ車の外装パーツを流用採用するなど、トヨタがロータス車のコストダウンにひと役買っていました。
エリーゼでふたたび関係性が親密に
そして2004年、ふたたびトヨタとロータスの関係性が深まるときがやってきます。エリーゼに新たに追加されたスポーツバージョン、「111R」にトヨタ製1.8Lエンジンの2ZZ-GEが搭載されたのです。
そして2006年にはエリーゼのベーシックバージョンにも、1.8Lの1ZZ-FEエンジンが搭載されます。それまでエリーゼはローバー製エンジンを搭載していましたが、ローバーの破綻により安定したエンジン供給先としてトヨタ製エンジンが採用されることになったのです。モデルライフの途中からスーパーチャージャーを搭載したハイパワーバージョンなども追加され、そのバリエーションを増やしていきます。
2009年からエリーゼよりも上級に位置するモデルとして販売された「エヴォーラ」には、3.5L V6の2GR-FEエンジンが搭載されました。2012年からフルモデルチェンジして販売された「エキシージ」には、この3.5L V6エンジンをスーパーチャージャーで武装したユニットを搭載。
以後、スーパーチャージャーによるラインアップ変更やエリーゼのエンジン変更(1ZR-FEや2ZR-FEの搭載)など細かな変更はあったものの、2021年にエリーゼ/エキシージ/エヴォーラが生産を終了するまで、ロータスはフルラインアップでトヨタ製のエンジンを採用していました。