2023年から「安全タンクさえ装着すれば何をやってもOK」に?
もはや、全日本ラリー選手権のJN1クラスは、R5/Rally2規定モデルを導入しない限り、タイトル争いでは勝てない状態となりつつある。だが、その状況を打開すべく、2023年はレギュレーションが一新される予定で、前述のとおり、仮ナンバーを取得したFIA公認車両に加えて、同じく仮ナンバーを取得したASNの公認車両または承認車両が出場できるようになる。
FIA公認車両とはシュコダ・ファビアR5などのR5規定モデルおよびRally2規定モデルだが、ASNの公認車両または承認車両とはどのようなマシンなのか?
ASNの公認車両とは、APRC(アジアパシフィックラリー選手権)などのリージョナル選手権に合わせて開発された「AP4」車両などが含まれており、かつてキャロッセが開発した「ヴィッツ4WD」や「C-HR」なども出場可能となる。
AP4車両は足まわりの構造変更や材質置換による軽量化、レース専用ギヤボックスの採用など大幅な改造が可能となっているだけに、トヨタGRヤリスやスバルWRXをベースに、R5に匹敵するオリジナルのレーシングマシンを開発可能だ。レギュレーションの詳細はまだ明らかになっていないが、「安全タンクさえ装着すれば何をやってもOK」という話も伝わってきているだけに、日本発のモンスターマシンが登場する可能性が高い。スバルであれば、VAB型のパワートレインを組み込んだS4……のようなマシンが参戦してきても面白いだろう。
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当然、開発コストが増加するだけにJN1クラスに参戦してくるエントラントとしては、R5規定モデルの所有チームとトヨタのワークスチームであるトヨタGAZOOレーシング、あとはスバルのサポートを受けるアライモータースポーツとシムスレーシング、独自でAP4モデルを持つキャロッセのワークスチーム、クスコレーシングなど6台前後に留まりそうだが、それでもレギュレーションの一新にともない、事実上のプロクラスとして新たなステージへ進もうとしているだけに、2023年は全日本ラリー選手権のJN1クラスにも注目したい。