贅肉を削ぎ落としたピュアモデル
ポルシェジャパンは2022年10月、「911」の軽量スポーティバージョンである「カレラT」を発表した。カレラTは「ピュアなドライビングエクスペリエンスを提供するモデル」と謳われ、軽量化とよりスポーティな装備を備え、「カレラ」と「カレラS」の中間に位置するモデルとなる。
車名のTはツーリングを意味し、1968年にツーリングバージョンのエントリーモデルとして登場。その後、先代の「タイプ991」に「ぜい肉を削ぎ落とした特にスポーティなセットアップ」というコンセプトの「ピュアな911」として復活を果たしている。
爽快な走りのために軽量化を追求
今回、最新の「タイプ992」に登場したカレラTは、軽量ガラスや軽量バッテリーの採用、遮音材やリヤシートを取り外したことなどにより車両重量を1470kg(MT仕様)に。カレラ(8速PDK)と比べ35kgの軽量化を実現した。
よりスポーティな走りを実現させるべく、車高が10mm低くなるPASMスポーツサスペンションや、ボタンひとつでシャシー/エンジン/トランスミッションをよりスポーティなセッティングへと変更することができるスポーツクロノパッケージ、リミテッドスリップディファレンシャルを備えたPTV(ポルシェトルクベクトリング)を標準装備とした。
PTVはコーナリング時に内側後輪に制動力をかけて旋回モーメントを高め、より俊敏でスムースにカーブを曲がることができる装備だ。さらに、通常ではカレラS以上のグレードにしか用意されていない、後輪操舵システム(リヤアクスルステアリング)がオプションながら用意されていることもポイントだ。
これらの装備を、カレラと同じ最高出力385ps/最大トルク450Nmを発生する水平対向6気筒ツインターボエンジンと組み合わせ、0-100km/h加速4秒(8速PDK)、最高速度291km/hを実現している。
「GTS」や「GT3」などのハイパフォーマンスモデルでしか選べなかった7速MTが、8速PDKと同価格で選べることもカレラTの特徴であろう。各ギヤレシオを最適化した7速MTは、ショートタイプのシフトレバーを採用。短いシフトストロークでスポーティな走りが楽しめるように仕立てられている。
内外装は細部での差別化が図られた
グレー(アゲートグレー)をアクセントカラーとしたエクステリアには、フロント20インチ/リヤ21インチのチタニウムグレーカラー カレラSホイール(軽量合金製)を装着。アクセントカラーのグレーはドアとリヤのロゴ、リヤリッドグリルのトリムストリップ、フロントガラス最上部などに用いられており、他モデルとの差別化が図られている。
インテリアはマットブラックのトリムやハイグロスブラックのインレインをはじめ、ブラック基調でスポーティな仕立てに。シートは標準のスポーツシートよりクッションが硬く横方向のサポート力を高めた4-wayスポーツシートプラスを装着した。
また、オプションでカレラTインテリアパッケージも採用している。これはコントラストカラーのスレートグレーかリザードグリーンのシートベルト、シートステッチ&ロゴ、センターストライプを組み合わせることができる仕様だ。さらに同色のコントラストカラーによるロゴとステッチが施されたフロアマットまで用意されている。なお、18-wayアダプティブスポーツシートプラスや、シートセンターにRace-Tex(高品質マイクロファイバー)を用いた超軽量フルバケットシートもオプションで用意されている。
4色のソリッドカラー(ブラック、ホワイト、レッド、イエロー)と4色のメタリックカラー(ブラック、ブルー、グレー、シルバー)、5色のスペシャルカラー(チョーク、ルビースターネオ、カーマインレッド、シャークブルー、パイソングリーン)からエクステリアカラーを選べる。また、110色以上の色調塗料が揃った「ペイントトゥサンプル」で自分好みの1台にセレクトできるのも嬉しいところであろう。
車両価格は1640万円(7速MTと8速PDK、左右ハンドル共通)。ベーシックなエンジンとシンプルで軽い仕立てで爽快な走りのカレラT、純粋に走りを楽しみたい人に向けた最良な選択肢の1台として人気を博すに違いない。