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酷暑対策済みのまま冬を迎えるのは危険! 「オーバークール」で最悪はエンジンブローの可能性も!?

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TEXT: 佐藤 圭(SATO Kei)  PHOTO: AUTO MESSE WEB

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しっかり暑さ対策しても厳しい寒さの冬がやってくる

 チューニングカーにとって熱は大敵。とくに近年の夏は気温が35℃を超えることも珍しくなく、サーキットに限らずオーバーヒート対策が欠かせない。大切なエンジンを壊したらシャレにならないと、スポーツ走行用のクーラントやサーモスタット、大容量ラジエーターにオイルクーラーなどを装着。お金を注ぎ込んだ甲斐あって真夏でも水温と油温は安定し、サーキット走行だろうと渋滞だろうと不安はなくなった。

社外ラジエター

 しかし日本は春夏秋冬がハッキリしており、当然ながら夏が過ぎ去れば秋と冬が訪れる。はたして気温が下がっても冷却系はそのままで大丈夫なのか、それとも夏とは違う対策を講じる必要があるのだろうか?

温度は上がりすぎてもダメだが上がらなすぎるのもダメ

 冷却系を強化したクルマが総じて注意しなければならないのは、オーバークールと呼ばれる冷えすぎて温度が上がらない症状。知ってのとおりクーラントやオイルには適温があり、高すぎるのはモチロン低すぎてもさまざまな弊害がある。

 代表的な症例は燃費の悪化や不完全燃焼によるエンジン内部の汚損、ヒーターの利きが悪くなったりオイルの劣化が早まることなど。サーキット走行では最初の数周でコースの状況をチェックしつつ、オイルやクーラントを適温まで上げてから全開するのがセオリーだ。

 ところが気温に対し冷却系の強化が過剰すぎると、いつまで経っても温まらず時間だけが過ぎていく。エンジンが冷えているときはピストンとシリンダーのクリアランスが広く、全開すると各部の摩耗が著しく進んだり最悪はブローする可能性もある。オーバークールはオーバーヒートと同じで危険、ということは十分に理解してもらえたと思う。

手軽な作業でオーバークール対策は可能

 しかし寒い季節だけ冷却系をフルノーマルに戻すのは、自分で作業するにせよお世辞にも効率的とはいえない。なるべく手間をかけず冷えすぎを防ぐには、いったいどんな方法があるのだろうか。

 メンテナンスも兼ねて一石二鳥なのはクーラント交換。チューニングカーやサーキット走行用のクーラントは、高い冷却能力とトレードオフにライフが短くなっており、暑い時期と寒い時期で使い分けているユーザーは多いはず。まだ冷えすぎるようならクーラントを抜くついでにサーモスタットを純正に戻すのも有効で、ラジエーターやオイルクーラーのコアをカバーで塞ぎ風が当たる面積を減らすのも昔からの定番だ。

* * *

 いずれにせよ冷却系は「過ぎたるは及ばざるが如し」と考えていい。闇雲にチューニングしてもムダ使いになる可能性があるため、まずは正確な水温計や油温計を装着して現状の温度を知ったうえで、オーバークールで頭を悩まさない程度の対策を心がけよう。

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  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 佐藤 圭(SATO Kei)
  • 1974年生まれ。学生時代は自動車部でクルマ遊びにハマりすぎて留年し、卒業後はチューニング誌の編集部に潜り込む。2005年からフリーランスとなり原稿執筆と写真撮影を柱にしつつ、レース参戦の経験を活かしサーキットのイベント運営も手がける。ライフワークはアメリカの国立公園とルート66の旅、エアショー巡りで1年のうち1~2ヶ月は現地に滞在。国内では森の奥にタイニーハウスを建て、オフグリッドな暮らしを満喫している。
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