現職大臣自らステアリングを握った予定外のメモリアルパレード!
まさに予期しない行動だった。2022年10月29日に奈良トヨタの田原本本社で行われた自由民主党の「高市早苗」経済安全保障担当相(以下高市早苗さん、もしくは高市さん)が長年所有していたA70型スープラ(&長野オリンピック記念車)のレストア完成セレモニー。その催しのひとつである完成車のメモリアルパレードの式典に出席していた高市さんが元愛車のスープラのステアリングを握り、自らのドライブで参加したのだ。
総裁選出馬直後のニュースサイトの記事により、クルマ好きであることが公に
現職の大臣が自ら運転することは異例中の異例。当初はエンジン始動のみを高市早苗さんが担当し、その後のパレードは「奈良トヨタ」の菊池 攻社長が運転する予定であった。
ただ、10年振りに新車のように蘇った元愛車を目にし、高ぶる思いを抑えられなかったのだろう、エンジン始動直後に何度も右腕を窓から突き上げ、嬉しさを爆発させた。菊池社長に運転席を譲ることなく、そのまま出発。その想定外の出来事に、まわりのほうがざわついたほど。奈良トヨタ関係者はもちろん、警備を任された奈良県警はまさに冷や汗ものだったろう。
高市さんにとってスープラの完成はそれほどまでに待ち遠しく、オーナーとして深く愛情を注いでいたことがうかがい知れるサプライズであった。
高市早苗さんがクルマ好きであることが世に知れ渡ったのは、2021年9月8日に高市さんが総裁選に正式立候補した直後の9月12日に、デイリー新潮が配信した「高市早苗・前総務相の愛車は430万円の『スープラ』、22年間乗り続けてニッコリのお宝写真」なる記事がきっかけだ。
この記事は2012年に週刊新潮(2012年8月30日号)に掲載された「有名人ちょっと変わった愛車たち」からの引用だ。詳細は割愛するが、白いスープラは生まれて初めて買った新車であること。東京と奈良の往復や奈良県の選挙区を走り回り、落選中はB’zの曲を流しながら自身を鼓舞したこと。そして22年間愛着をもって所有し、廃車後も「どうしても捨てられない」と地元奈良の整備工場で保管していることなどが掲載されていた。
衆議院選時の選挙事務所に置かれたスープラを見るべく全国から訪問が相次ぐ
記事配信以降、一時ネットの話題キーワードに「高市早苗」が登場し、SNS上ではクルマ好きを中心に、好意的なコメントが続々とアップされた。続く同年9月の衆議院選では、地元奈良の選挙事務所前に保管されていた「さなえスープラ」が登場。この話題は一躍全国区となり、「スープラと写真を撮りたい」と選挙期間中、事務所には多くの人が足を運んだそうだ。
スープラを事務所に置くことを提案したのは前出の菊池 攻さんである。そして、代表を務める奈良トヨタは近年、技術伝承のために旧車のレストアを積極的に手掛けることがメディアにも取り上げられた話題のディーラー。「レストアプロジェクト」と題してグループ内からメカニックから有志を募り、年に1~2台ペースで車両を復刻している。残念ながら一般からのレストアは受け付けていないが、完成した歴代車両は奈良市にある「まほろばミュージアム」で見ることができる。
そのつながりで、高市早苗さんのスープラを同社が80周年を迎える記念イヤーの2022年に、レストアすることがとんとん拍子で決まった。