純正同形状のオリジナルパネルがついに完成!
すでに紹介した『ガレージヨシダ』のストラットタワー。製造廃止になった純正品代替としての注目度は高く、問い合わせも多数あったという。市販化の目処が立たったということで、製品を実車に組むタイミングに合わせて同店を訪れた。その完成度の高さは想像以上だった。
(初出:GT-R Magazine 166号)
R33/R34の弱点から着手しほかの部位の製作も検討中
これまで事故や錆による腐食で損傷した第2世代GT-Rのボディを数多く甦生してきた『ガレージヨシダ』の吉田光造代表は、長年の夢を実現するための第一歩を踏み出した。純正同形状のパネルをオリジナルで新規製作するという大英断である。
「わたし一人の力では到底実現できません。幸運なことに、自動車メーカーにパネルを供給している工場の方と知り合うことができ、リバースエンジニアリングで純正品と同形状のパネルを製作・供給してもらうことができるようになりました」と語る吉田代表。
外板やフレームなど、第2世代GT-Rではすでに製廃になっているパネル類も少なくないが、吉田代表がまず着手したかったのがBCNR33/BNR34の弱点とも言えるフードレッジ(ストラットタワー)の製作だった。R33とR34はボディ剛性強化のため、ストラット上部にサイドパネルが重ねられており、その合わせ目の隙間に侵入した水分によって錆が発生し、腐食が進んでしまうからだ。
「軽傷の場合は上部のサイドパネル交換だけで済みますが、重傷になると下のパネルやショック付け根のパネルにも錆が広がってしまうため、ストラットタワーを構成するパネル7枚を新規で製作したいと相談しました。未使用の純正ストラットタワーを保管していたこともあり、それを3Dスキャニングで測定してもらい、そのデータを元に図面を起こして個別にパネルを製作してもらうことができたのです」と吉田代表。
純正部品同等の精度を追求し完成させた
現物からデータを取って図面を起こす、いわゆるリバースエンジニアリングで純正と同等のパネルが出来上がった。精度に関しても、純正パネルの新車公差範囲内に収まることは必須条件だったとのこと。実際に7枚のパネルを溶接で組み立てたストラットタワーは、見た目的にも純正品とまったく同じクオリティに仕上がっていた。ただし、まだ課題も残されているという。
「上部のアウトサイドパネルは比較的容易に単体での交換ができますが、バラになっているストラットタワー全体を高い精度で車体に組み付けるには、施工する板金業者にそれなりの経験と技術力が求められます。いろいろと試した結果、パネル単体で車両に組み付けたほうが精度的にはいいのですが、純正のようにアッセンブリー状態で施工したほうが作業は圧倒的に楽になります」
「まずは単品状態のストラットタワーパネル7枚を左右セットで販売しますが、今後要望が多ければ組み付け済みのアッセンブリー販売を検討する必要があるかもしれません」とのことだ。
今回は7枚のパネルを治具を用いて、アッセンブリー状態に組み立ててから実車に装着する方法を試した。この方法で各部寸法がキッチリと出ているか、公差内に収まっているかを確認するという。
このほかにもパネルの製品化を実現していきたい
鋼板自体は第2世代Rの「当時モノ」よりも強度が高く、単品から組むことで防錆処理もノーマル以上にシッカリと施すことができる。今後も需要があればほかの部位のパネル製作も手掛けていきたいという吉田代表。そのためにほかのパネルのデータ取りもすでに進行している。
第2世代GT-Rに末永く乗り続けたいと願うオーナーにとって、心強い挑戦が始まった。
【製品概要】
BCNR33/BNR34 フルキット:24万2000円
アウトサイドパネル単体:6万1600円
(ともに左右セット・消費税込)
(この記事は2022年8月1日発売のGT-R Magazine 166号に掲載した記事を元に再編集しています)