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なぜ「ラウンドアバウト」は日本で普及が進まない? 本当は安全で環境にも優しい環状交差点の「癒やしポイント」とは

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TEXT: 森口将之  PHOTO: 森口将之/AMW 竹内耕太

まだ全国で140カ所、普及が進まない理由は?

 それでも前に紹介した警察庁の統計では、日本全体でもラウンドアバウトは140カ所。郊外に行けば当たり前のように出会うヨーロッパに比べて、はるかに少ない。

 法律ができてからまだ10年経ってないこと、信号交差点より場所を取ることなども関係していると思うが、最近の日本人に多く見られる、新しいモノやコトに対してまず否定から入るマインドも影響しているのではないかと思う。

 なかには信号交差点より事故が多くなると思っている人がいるかもしれない。しかし実際は逆で、欧米や日本のデータでは事故が減ったという数字がいくつも出ている。

 理由として考えられるのは、交差点の通過速度が遅くなり、速度差が小さくなること。そして信号がない分、ドライバーが他車や歩行者、自転車の状況に注意しながら進むことがあるだろう。

 ただし後者については、ほかの交通に気をつけながら走るのは、交通安全の基本中の基本だ。逆に言えば信号交差点では、信号の色に頼ってドライバーの判断がおろそかになっているとも言える。

燃費や景観といった面でもメリットが大きい

 またヨーロッパでは、交通量が少なければ発進停止が不要で、信号という電気設備に頼らないことから、環境に優しい交差点という評価も受けている。たしかにクルマがもっともエネルギーを消費するのは発進の瞬間なので、ラウンドアバウトが増えれば燃費も良くなりそうだ。

 もうひとつ景観についても触れておきたい。ヨーロッパのラウンドアバウトは、中心の空き地に花などを植えていることが多い。僕などは運転していると、これだけで気分がやわらぐ。それが事故防止につながるかもしれない。

 ラウンドアバウトが海外で普及しているのは、電気自動車のような戦略めいたものではなく、安全や環境といった面でしっかり結果が出ているからだ。日本でも、すでに導入されている交差点はスムースにクルマの流れをさばいているようだし、もっと広まってほしいと思っている。

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