果たしてスーパーSUVは順風満帆な存在なのだろうか
迎え討つ既存のスーパーSUVは、プロサングエがデビューする前からすでに対抗手段をとっている。アストンマーティンは707馬力のAMGユニットを積む「DBX707」を、ランボルギーニはV8ツインターボの出力を666馬力にまで引き上げた「ウルスS」および「ペルフォルマンテ」を、それぞれ発表した。
実績のあるモデルゆえ、そしてプロサングエの生産規模が小さかったため、引き続き彼らにも勝機はあるだろう。とくにランボルギーニはすでに向こう2、3年分くらいの予約注文を受けており、現在、申し込みベースでさえ販売するモデルがないという絶好調ぶりだ。
こうなってくると気になるのは未だピュアなスポーツカーメーカーとして唯一残ったマクラーレンの動静だ。2022年7月にマクラーレン・オートモーティブのCEOに就任したミハエル・ライターズは、ポルシェでは「カイエン」を、そしてフェラーリで「プロサングエ」の開発に関わったエンジニア出身のトップである。独自に開発するのか、もしくはどこかと組むのか、様々な憶測が流れているものの、情報を総合的に判断すれば「将来的にSUVはあり」だろう。
問題はそのタイミングだが、それこそ開発の方法論によって決まると思う。個人的には現在のマクラーレン製スーパーカーのように走る、つまりはカーボンモノコックを持つハイライダーモデルも見てみたいけれど……。
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ただ、SUV一辺倒には疑問もある。もとより電動化が進み、重いバッテリーの搭載位置や比車重を考えたとき、SUVが有利であることは論を待たない。世の中の普通の乗用車が軒並みSUV化しているとなれば尚更だ。けれども一方で、そもそも重くて大きなSUVの存在そのものが、たかだか70kgしかない物体(人間)を運ぶのに必要なのかどうかという根本的な問題を抱えている。2トン超級のスーパーSUVとなれば何をか言わんや。
自動車メーカーは人々の欲望にどこまで付き合うのだろうか。ひとつだけ言えることがある。我々はどこまでも突き進むわけにはいかないのだ。