ヨーロピアン&VIPメイクはワゴンとミニバンでも人気に
ワゴン&ミニバンのカスタマイズの振り返り企画の第2弾。ワゴン&ミニバン&SUV専門のカスタマイズ誌である「ワゴニスト」が、1994年に創刊してから最近まで支持の高かったドレスアップの手法を順を追って紹介していく。第1回目はアメリカンとスポーツスタイルに関して掲載したが、第2回目となる今回はヨーロピアンメイクとVIPをクローズアップする。
欧州車のカスタマイズをストレートに表現したヨーロピアン
欧州車のカスタマイズ手法をそのままワゴン&ミニバンに取り入れて、ヨーロッパ車のような雰囲気を引き出そうと人気だったのがヨーロピアンというカスタマイズ手法。1990年代前半〜2000年代前半に大流行りしたカスタマイズだ。もともとは当時発売されていた中型のセダン車、例えばホンダ・アコードや初代日産プリメーラ、そしてホンダ・ロゴ、トヨタ・ヴィッツなどのコンパクトカーを中心にアツいユーザーが多かったジャンル。その派生としてステーションワゴンを中心にミニバンにも流行の波が広がっていた。
もちろん欧州車用のパーツはそのまま取り付けることができないので、ヨーロピアンの市場拡大を背景にそのテイストを纏ったスマートな国産車用のアイテムが数多く登場した。それまではいわゆる「クルマの改造=悪いコト」というのが一般的な考え方であったが、そういった図式を「クルマの改造=オシャレ」という新しい概念を確立した希有なジャンルのひとつでもあった。
このジャンルはのちにさらに進化し、小技でディテールのクオリティを極めたり、ヨーロッパのレースカーを参考にしたりと欧州起源の自動車文化を幅広く取り入れ、隆盛を極めた。ただミニバンユーザーの次なるステップアップとして、憧れの欧州車自体に乗り換える人も多く、最終的には輸入車のカスタマイズ市場に活躍の場を移すオーナーが多かった。
張り出しバンパー、深リム、メッキパーツを組み合わせたVIPメイク
高級セダンのように威風堂々としたカスタマイズに支持が集まったVIPメイク。その堂々さを表現するためにフロントバンパーの長さや低さを強調するようにバンパーを延長し、よりボディを大きく貫禄ある印象に見せる方向性が大人気となった。1990年代後半~2000年代前半に流行ったカスタマイズ手法だ。全体的なイメージはトヨタ・セルシオやクラウン、メルセデス・ベンツのドレスアップのムードをミニバンにトレース。まずは大型のバンパーと深リムのホイールの装着で着飾るのが一般的な流れだった。
時代とともにカスタマイズが進むとワンオフが大流行し、ボディのオールペイントをはじめ、オーバー&ブリスターフェンダー、エアロの全長延長&下側への延長加工、ヘッドライトやフロントグリルの顔面移植などが人気に。さらに、他車種流用のフォグランプ、ボンネットマスコット、超深リム、メッキパーツなど大小問わず、ありとあらゆる所に対してイジるのが多数派だった。
ゆえに、カスタム度合いのレベルはものすごく高く、完成度もハンパなく高かったのもこの時代。VIPメイクが大いに盛り上がったそのとき、そこから派生した進化型のカスタマイズもどんどん増え、インタークーラーやダクトを奢ったスポーツVIPやアメリカンと融合させたアウトローなスタイルもひとつのジャンルとして確立した。
* * *
第2回目のカスタマイズ振り返り企画は1990年〜2000年の当時一番人気を集めていたジャンルを紹介してみた。このころはカスマイズにアツいオーナーが多く、イベントなどに出場し仲間同士で上位入賞を目指して競い合うヒトも多数見受けられた。第3回はVIPメイクから進化したカスタマイズ手法を中心に紹介する予定だ。