待望のエビスサーキット西コースが復活
2021年2月13日に発生した「福島県沖地震」により、大きなダメージを受けたエビスサーキット西コース。被害のなかった部分はすでにイベントで使用されていたが、ようやくフルコースとしてのイベント開催が可能となった。
軽自動車のレースとして12年の歴史を持つ「東北660選手権」は、地震が起きてからエビスサーキットの東コースへと舞台を移していたが、2022年10月16日に約2年ぶりとなる西コースでのレースが行われた。
ドリフトカテゴリーも新たに設定
カテゴリーは新規格NAの東北660選手権と、HA36型スズキ・アルト(NA)のワンメイクレース、そして以前からリクエストがあった軽自動車オンリーのドリフト走行会も初めて開催。ドリフトは地元の東北だけじゃなく関東や東海、関西からはるばる遠征したドライバーもいたほどだ。
1~3コーナーの通称「ショートコース」と、最終ヘアピン手前に作られたバンクを使い、とくに審査や追走などは設けないいわゆるフリー走行だったが、おそらく東北で軽自動車だけのドリフト走行会が開催されるのは初めてだろう。
車種も純粋なFRのスズキ「カプチーノ」に、4WDをFRに改造した新旧ダイハツ「ミラ」や「オプティ」、FFのスズキ「アルトワークス」とバラエティに富んでおり、大いに盛り上がった。レースに参加するドライバーも通常ならあり得ないスキール音や、スムースな切り返しでコーナーを繋ぐドリフトは新鮮そのもの。1回あたりの走行時間やコースレイアウトを熟考しつつ、来年も同じく西コースでの開催を予定している。
1クラス:#456細田駿也がポール・トゥ・ウィン
そしてシリーズでは最終戦となる東北660選手権。改造範囲の広い1クラスは、#11アベと#456細田駿也が予選で1周ごとにベストラップを更新しあう接戦、結果は細田が1分15秒472、アベが1分15秒482と、その差はなんと0.01秒という僅差だった。
決勝もスタートを完璧に決めた細田が終始レースをリードする。アベは予選3番手である#111狩野 治とのバトルに時間を費やし、ファステストラップを叩き出すも細田には届かずチェッカーとなった。
2クラス:4台による熱いバトルを#246久米田昴が制する
2クラスはガレージ・カリノからエントリーする#466鈴木律幸と、#61高橋康平のふたりによるシリーズチャンピオン争いが最大の目玉だ。予選は鈴木が4戦連続となるポールポジションを獲得。2位は#154小松日高で3位が#246久米田昴が入った。高橋は4番手に沈み、タイムも1分17秒台と上位3名におよばず。
決勝は序盤から久米田がトップを奪取し、小松ー鈴木ー高橋が数珠つなぎのようなカタチで追う。小松が途中で幾度となくオーバーテイクを仕掛けるが、久米田は懸命にブロックし、鈴木と高橋も手を出せないままレース終了。4台の熱くクリーンなバトルは、過去の東北660選手権を振り返っても間違いなく5本の指に入る面白さだったのではないだろうか。
3クラス:アクシデントで赤旗となりそのままレース終了に
3クラスは兄弟で東北660シリーズに参戦する#76大越 拓が初のポールポジション、そして第3戦でシリーズチャンピオンを決めた#200石川颯人が2位でスタートするが、クラッシュによる赤旗でコース清掃に時間を要し、そのままレース終了となってしまった。
4クラス:シリーズ初参戦の#221宮澤幸秀がポール・トゥ・ウィン
2ペダル車の4クラスは、「K-Racing」からレンタル車両で参戦する#221宮澤幸秀が3連続でポール・トゥ・ウィンを決め、シーズン初年度を最高の結果で終えた。シリーズポイントこそ全戦参加ボーナスがある#5菊・珍におよばないが、グリップ走行も今年が初体験とは思えない見事なテクニックで、来シーズンはどのクラスに進んでも台風の目になりそうだ。
5クラス:新マシンを投入した#106石川斗夢がポール・トゥ・ウィン
ビギナー限定の5クラスは、第3戦でマシンを横転させてしまった#106石川斗夢が、家族のサポートもあり新たなマシンを投入してポール・トゥ・ウィン。決勝で記録した1分18秒684は、3クラスでも上位を狙えるタイムだ。
HA36カップ:オートリサーチ米沢のエントリーマシンが2連勝
HA36カップは1クラスの#252大越海斗と2クラスの#123細田駿也、いずれもオートリサーチ米沢からエントリーのドライバーが開幕戦に続き2連勝。しかし、#210岡部皓輝をはじめ、ライバルも着々とマシンを煮詰めており、スポーツランドSUGOで初開催となる第3戦はさらなる接戦が予想されている。
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2022年の東北660選手権はシリーズポイントと関係ない、セミ耐久(11月27日・スポーツランドSUGO)の特別戦を残すのみ(HA36カップも併催)。スプリントにはないドライバー交代やピットワークの速さも見どころで、優勝者は来シーズンのレースエントリー(スポーツランドSUGO開催分)が無料という特典も。涼しく湿度も低い絶好の季節だけに、コースレコードを狙っているドライバーも多いはずだ。ぜひ、残り少ない軽自動車の熱い戦いをサーキットで見届けてほしい。