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高市早苗大臣の「70スープラ」レストアの舞台裏とは? チーム「さなえスープラ」のこだわりと創意工夫を担当者に直接聞いてきました

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TEXT: 山崎真一(YAMAZAKI Shinichi)  PHOTO: 奈良トヨタ/清水良太郎/高原義卓

レストアは問題に直面した際にどう解決に導くかという考える力を養う研修

 中古のダッシュボードを使うという案もあったというが、最終的には「自分たちの手でどこまで修復できるかにチャレンジしてこそ、技術伝承だろう」と気持ちを鼓舞させて、リペアで成し遂げたそうだ。

 穴の開いていたスペアタイヤ下のフロアは鈑金で修復し、再生の難しかった中央の土台は、高さや形状の近しい車種を探して流用。高さを調整して取り付けている。マニアなら「それは違う」となるところだが、担当メカニック間で話し合い、総合的に判断。ほかの部分も部品がないなら、どうやって純正に近づけるかを創意工夫。問題に直面したときにどのように解決に導くのか。そうした考えを養うこともレストアプロジェクトを行う理由でもある。

「レストアメンバー以外にもプロジェクトに共感し、自発的に手伝わせてほしいという声も上がりました。今回も傷みがひどかったコンソールボックス蓋の表皮やサイドブレーキのブーツなどは、メンバー外の女性が実物をベースに型紙を作り、新たに製作。個人的には“メンバークレジットに名前を入れてもいいんじゃないか”と思うくらい良い仕事をしてくれました。このように社内でレストアへの関心が高まり、こうした輪が広がっていくのはいい傾向だと思いますね」と松本さん。

松本メカニック

“最新のレストアが最良のレストア”その仕上がりをぜひ「まほろばミュージアム」で

 一度同型式のスープラのレストアを経験済みなので、順調に進みましたか? と問うと、

「全体的に進捗は早まったのですが、いいクルマに仕上げようとさらなるクオリティアップを追求し始めたので、最後まで気が抜けませんでした。また、ご存知のとおりレストアは本来期日があるようでない作業なのですが、われわれには8カ月という期日が決められていました。そんななかで初めて参加するメカニックたちに、“このレベルまで頑張ってください”と説明したのですから、彼らは相当大変だったと思います。よく最後まで頑張ってくれました。完成した高市先生のスープラは過去最高の出来栄えだと胸を張れます」と越田さん。

スープラのリヤビュー

 現在はメカニックの育成、そして裏方であるメカニックの晴れ舞台の場にとどまっているが、今回のさなえスープラを見れば、本格的なレストア業者に負けず劣らないレベルに近づいているのが分かる。また、会社としてレストアを開始したときは道具も少なかったが、今では道具も整い、レストアをする環境は整いつつある。そして、何よりオーナー(高市早苗大臣)の喜ぶ顔を見るのはメカニック冥利につきるのではないだろうか。

 レストアの事業化については未定だそうだが、近い将来に期待したい。そう思わせるほど素晴らしい仕事っぷりだった。ぜひ「まほろばミュージアム」に足を運んでいただき、新車同様に蘇ったさなえスープラをその目で確かめてほしい。

12
  • ひび割れたダッシュボード
  • スープラの外観
  • スープラのリヤビュー
  • 松本メカニック
  • 越田メカニック
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