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スズキ「スペーシア ベース」のアウトドア戦闘力に驚愕! 使い勝手も車中泊も死角なしの実力をプロが解説します

軽商用車のカテゴリーで遊びに全振りした発想の勝利!

 スズキから2022年8月に新たに登場した、税金面でのメリット絶大な4ナンバーの軽商用車、「スペーシア ベース」。その実態は、スーパーハイト系軽自動車の「スペーシア」を基本に、マイナーチェンジ(MC)前の「スペーシア カスタム」の顔を与え、そしてスペーシアのクロスオーバーモデルである「スペーシア ギア」の撥水シート表皮やルーフレールを採用するなど、良いとこ取りをして、前席背後を軽商用車として仕立てたパッケージの持ち主と言っていい。

 なお、荷室の最大積載量は多くの軽商用車の350kgではなく、200kgになっている。これは市場調査に基づくもので、多くの軽商用車ユーザーの荷物の積載量が200kg以下だったからだという(じつはそれが乗り心地面で有利になったりする)。

 ここではそんなスペーシア ベースのアウトドア戦闘力について、すでにスペーシア ベースで愛犬とともにアウトドア、BBQなどを楽しんだ筆者の経験から解説したいと思う。

圧倒的な荷室の広さとアレンジ性

 アウトドアといえば、荷物の積載力が気になるところ。荷室床面地上高はスペーシアとまったく同じ540mmときわめて低く、荷室開口高1115mm、開口幅1005mm、2名乗車時の荷室長1375mm、荷室幅1265mm(4名乗車時)、荷室高1220mmという、フロアが低く、天井の高い広大な荷室スペースの持ち主(さらにルーフキャリアも活用できる)。

 スペーシア ベースの大きな特徴が、まずは荷室に実測サイズで幅1130mm×奥行き685mmの「マルチボード」を標準装備していること。これは下/中/上段にセットできるボードで、上段固定用のアタッチメント、固定用ネットも標準装備されている。

 そのマルチボードを下段にセットし(ボード下の収納スペースの高さ160mm)、前席の背もたれをほぼ水平に倒せば、マルチボードとつながるフロアが出現。その全長はフロア長で実測1740mmに達する。つまり、身長174cm前後の人なら、真っすぐに横になれるベッドスペースになるわけだ。

 純正アクセサリーとして用意されているリラックスクッションやブランケットクッション、そしてウインドウ全周を覆ってくれる、ジャストサイズのプライバシーシェード(メッシュ付き)を使えばスペーシア ベースの車内は完全なるプライベートスペースにアレンジできるというわけ。室内高が1405mmもあるため、寝ていても天井が高く、解放感があり、車内をお座敷化しても同様だ。前席のシート表皮はスペーシア ギアの撥水タイプだから、樹脂製となる荷室フロアとともに汚れや水気に強く、スペーシア ベースのアウトドア適性を加速させてくれるのだ。

外部電源ユニットで快適なワーケーションもOK

 それだけじゃない。マルチボードを上段にセットし(ボード下の収納スペースの高さ435mm)、後席を格納すれば、マルチボードがテーブルに、格納した後席部分がベンチタイプのふたり掛けの椅子となり、アウトドアでの窓向きのテーブル席に変身。窓際のテーブル席、バックドアを開ければオープンテラス席として使え(どちらも雨天OK)、もちろんノートパソコンで仕事をするためのワークデスクとしてもぴったりだ。

 しかも、スペーシア ベースには純正アクセサリーとして「外部電源ユニット」が用意されていて、オートキャンプ場の電源設備、あるいは自宅からスマートにAC100V電源を車内に引き込むことができ(窓やドアを少し開ける必要もなし。専用取り込み口がある)、車内で1500Wまでの家電品、パソコンなどを使うこともできるのだ(HVやPHVにあるAC100V/1500Wコンセントとは意味合いが異なる)!

 アウトドアでなくても、自宅の駐車場で、自宅から電源を引き込んだ電源付きワークスペースとして活用できるのだから、一部屋増えたようなものである。まさに「新しい生活様式」が求められる時代に相応しい使い方ではないか。

多彩な収納スペースが用意されている

 さらに、スペーシア ベースらしさとして、スペーシアのリヤクオーターウインドウ部分はパネル張り、その内側はリヤクオーターポケット(カラーコードは販売店オプション)となり、合計10カ所のユーティリティナットが設けられ、秘密基地感覚やギア感を増幅させてくれるのだ。また、スペーシアでオプション設定される天井のスリムサーキュレーターは、スペーシア ベースでは(後席の居住性を重視していないため)オーバーヘッドシェルフ(XFグレード)となり、物入れとして天井の高い車内を有効活用。車中泊でも、リヤクオーターポケット、スペーシアなどでおなじみの助手席シートアンダーボックスとともに、収納スペースとして大活躍してくれるはずである。

ドッグフレンドリーカーとしてもじつに優秀

 そうそう、スペーシア ベースは愛犬家や愛犬にも最適なドッグフレンドリーカーとして認められる。大型犬の乗車であれば、後席部分を格納してフラットフロアにアレンジ(段差を埋めるフルフラットカバーも標準装備!)したうえで、TVCMにあるようにマルチボードを縦にセットして、前席/愛犬スペース/荷室の3ブロックにパーテーションすることができるのだ。これなら愛犬と荷物が同居することがなく、愛犬も安心してドライブを楽しむことができるはず。ちなみにスペーシア ベースの前席はスペーシアのセミベンチシートでなくセパレートシートとなるため、格納した後席部分に乗った愛犬とアイコンタクトができ、またエアコンの風も届きやすいというメリットまであるのである。

 ちなみにわが家の小型犬のジャックラッセルのララは、後席をそのまま使い、そこにDOG DEPTのドライブベッドを固定して乗せてみた。人が座るのには不向きと言っていい軽商用車ならではの簡易シートだが、クッション性もあり、小型犬を乗せるには文句なしだったのだ(もちろん前席の飼い主とのアイコンタクト、エアコンの風通しもOK)。

* * *

 というわけで、スペーシア ベースは軽乗用車のスペーシアをベースに仕立てた、使い勝手抜群、アウトドア、車中泊完全対応の、スーパーハイト系軽商用車となるわけだが、エンジンはスペーシア カスタムと違ってNAのみ。しかし、2名乗車+アウトドアの荷物満載でも想定外によく走ってくれるから(ほぼスペーシアのNAモデルの軽乗用車感覚の性能だ)、アウトドアフィールドを目指すドライブにもしっかり対応してくれそうだ。具体的な目から鱗の走行性能については、あらためて試乗記としてお伝えしたい。

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