もはやネオクラ国産スポーツカーの値下がりは期待薄
新車だった当時の価格を大きく上まわるなど、異常な高騰が続くひと昔前のスポーツカー。欲しいと思いつつ今の値段がネックになり、なかなか手を出せない気持ちはよく分かる。
しかし年を追うごとにタマ数は減るいっぽうであり、パーツの入手もどんどん困難になるのが必然だ。いつまで待っていても値落ちは期待できず、買うなら早いほうがいいモデルを考えてみた。
ドリフト人気で高騰する「日産シルビア(S15)」
まずはドリフトでもグリップでも高い人気のS15シルビア。ターボを搭載したスペックRで走行距離が15万km以内なら、250~330万円がボリュームゾーンでタマ数もそこそこ多い。
もしターボにこだわらないのであれば、NAのスペックSという選択肢もアリ。それなら同じ条件で100万円ほど価格帯が下がり、走行距離が10万km以下のクルマもだいぶ増える。NAのATならサーキット走行で傷んでいる可能性も低く、程度のいいボディを活かしたチューニングには最適だろう。
至高の専用エンジンを搭載した「ホンダS2000」
次はFRのオープン2シーターとして熱烈なファンを多く抱えるS2000。サーキットで酷使されたクルマも多く、エンジンが超高回転型のF20Cであることを考えると、極端に走行距離の多いタマを買うのはいささか不安だ。
そこで10万kmを上限にリサーチしてみると、どんなに安くても250万円を割ることはない。走行距離を気にしなければ200万円でもギリギリ手は届き、エンジンのオーバーホールを前提にしている人ならお買い得かもしれない。
なお高年式で5万km未満になると700~800万円も当たり前だが、今後このようなパッケージのクルマが登場する可能性は低く、新車の2~3倍を払っても手に入れる価値はあるのかもしれない。
高回転エンジンが気持ちいい「ホンダ・インテグラタイプR(DC5)」
ほぼ同世代といえるDC5インテグラ タイプRは、S2000ほど値上がりしていないが素性はピカイチ。220ps&21kg-mを絞り出すK20Aエンジンは、出力もフィーリングもタイプRの名にふさわしく、ワンメイクレースが盛んだったこともあり、社外パーツ、セッティングのノウハウも豊富に出揃っている。
中古車の相場は先代のDC2インテグラ タイプRよりも安く、200万円で走行距離が10万km以下のタマを買うことが可能だ。
ABCトリオ「マツダAZ-1」「ホンダ・ビート」「スズキ・カプチーノ」
最後は軽自動車で「ABC」と称された、AZ-1とビートとカプチーノを挙げたい。ガルウイングでスズキ・キャラというOEMも存在したAZ-1に、3連スロットル付きのパワフルなNAエンジンを積んだビート、スタンダードなFRで690~700kgと軽量なカプチーノ。
いずれも負けず劣らずの魅力を持つ紛うことなき名車だが、販売期間は最長のカプチーノでも1991~1998年と短く、生産台数はAZ-1がキャラを足しても5000台に届かず、ビートが約3万4000台でカプチーノは約2万6000台だ。
当然ながら現存している車両はさらに少なく、プレミアが付くのもやむなしといえるだろう。中古車も相場はAZ-1が170~400万円と希少性のせいかもっとも高く、ビートは60~220万円、カプチーノが60~280万円といずれも幅広い。大半の車齢が20年を超えており大がかりなリフレッシュが必要かもしれないが、中古パーツや社外パーツを駆使すればコンディションは維持することはでき、ABCのどれであろうと今より値段が下がることはないのでは?
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新車の価格や昔の相場を知って躊躇するのも止むを得ないが、決断が遅れれば遅れるほど購入のハードルは上がるのかも!?