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なぜ国立公園なのにホストがヒッピー風? 偶然見つけたキャンプ場が最高のロケーションでした──米国放浪バンライフ:Vol.08

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TEXT: 牧野森太郎(MAKINO Shintaro)  PHOTO: 牧野森太郎

アメリカを気ままに放浪3カ月:17日目~18日目

 これまで2度にわたりアメリカを放浪してきた筆者。還暦を過ぎた2022年4月から7月にかけて、人生3度目のアメリカひとり旅にチャレンジしてきた。相棒は、1991年式トヨタ「ハイラックス」をベースにしたキャンピングカー「ドルフィン」。愛称は「ドル」。LAから北にあるセコイア&キングスキャニオン国立公園ではキャンプ場がどこも満杯! はたして、ゆっくり泊まることはできるのでしょうか?

5月16~17日 セコイア&キングスキャニオン国立公園

 セコイアの森のハイキングを終え、セコイア&キングスキャニオン国立公園の北にあるアゼリア・キャンプグラウンドを目指す。午後もいい時間になってしまった。なんとかなるさ、と気楽に考えたが、本当にチェックインできるのだろうか。もしも、キャンプ場に空きがなければ、フレズノに下ってモーテルを探すしかない。大好きな国立公園を1日で通過するだけでは悲しすぎる。

 と、また不安が大きくなり始めたとき、なんと目の前にキャンプ場の標識が! 「ストーニー・クリーク・キャンプグラウンド(Stony Creek Campground)」。なんだ、これは! 何度も調べた国立公園内のリストに載っていないキャンプ場だ。これこそ神の救いか? 慌てて左にハンドルを切って、敷地内に入る。

 巨体を揺らして出てきたのは、ヒッピー感ただよう妙齢(?)の女性である。モーターホームに住みながらキャンプホストをしている人には、このタイプが多い。「キャンプ場を探しているんですが」「ここがキャンプ場だよ」「今晩、泊まれますか」「長さは?」「21フィートです」「じゃあ、そこの2番に入れて。1泊32ドルよ」「はい!」

針葉樹に囲まれた静かなドライサイトは理想の雰囲気

 本当になんとかなった! うれしくて思わずいい返事をしてしまったが、疑問はさらに深まる。まず、キャンプ場がリストになかったこと。そして、料金が高いこと。国立公園内のキャンプ場は基本的に安い。向かっていたアゼリアは22ドル、ジョシュアツリー国立公園で泊まったサイトは15ドルだった。さらにヒッピー風のホストがおかしい。通常は制服を着たレンジャーが巡回しているのだが……。

 2番のスポットにクルマを停めて、もう一度地図を見直すと、すべての疑問が一気に氷解した。国立公園内を走るハイウェイのほんの一部が私有地を通過しているのだ。ストーニー・クリーク・キャンプグラウンドは、その間隙を縫うように私有地に作られたプライベートの施設だったというわけである。

 公立だろうが私立だろうが、とりあえずどうでもいい。とにかくキャンプ場の雰囲気が素晴らしい。針葉樹に囲まれた静かなドライサイト(ただ停めるだけ)は、ぼくの理想だ。豪華なフックアップサイト(電気や水が備わっている)は、区画整理された土地に整列するように駐車する。しかも、利用しているモーターホームは数千万円クラスの豪華版が多い。そこに何度か宿泊するうち、自分が求めているものとは違う居心地の悪さを感じ始めていたのだ。

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