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三菱「デリカD:5」の成功は「デリカスペースギア」から始まった! 今みても新鮮なオフロード系ミニバンとは

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TEXT: 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)  PHOTO: 島崎 七生人

4WD命の三菱らしい本格的すぎるオフロード性能

 また4WDには「スーパーセレクト4WD」を採用。これはレバー操作で2H/4H/4HLc/4LLcを切り替えるもので、フリーホイールハブとシンクロ機構の採用で走行中でも2WDと4WDの切り替えが可能というもの。カタログに、「1:トランスミッション、2:H/L切換ユニット、3:2WD/4WD切換&センターデフロックユニット、4:VCU(ビスカスカップリング)&センターデフ、5:フリーホイールデフ機構、6:フロントデフ、7:リヤデフ」と、ドライブトレーンの構成を説明したマニアックな図版が載っているのは、4WDにこだわる三菱車らしいところだ。

 最低地上高は195~190mmの設定で、アプローチアングル:28.0度、ランプブレークオーバーアングル:23.0度、ディパーチャーアングル:25.0度(スペックは4WD SUPER EXEED)と、オフロードでの走破性についてのスペックが記されているのもこのクルマらしいところ。クラス初の4チャンネルABSも装備していた。

アレンジ自在な室内空間の使い勝手も最強だった

 一方でミニバンとしての資質、充実した機能性の高さも、車名どおりスペースギアの売りだった。とくに室内空間は、前後とも床面は高くステップを1段介して乗り込む方式だったが、その代わり床面が1~3列にわたってフラットであるのが魅力だった。シートアレンジは2列目の180度回転シートおよび対座モードや、「フィールドでの拠点スペースとして最適」と表記されたユニークな2列目90度横向き回転、そのほか3列フルフラット、2列目チップアップなど、多彩な使い勝手を可能にしていた。

 シリーズにはなんと4WDのロングボディも用意され、標準ボディより200mm長い3000mmのホイールベースをもち、2WDモデルで10名乗車のグレードも設定された(その他のモデルの乗車定員は7名または8名)。

 またクリスタルライトルーフ、ツインサンルーフなど、この時代のミニバンらしい「マストアイテム」も用意された。クリスタルライトルーフは、後席用に4分割のガラスサンルーフを備えるもので、電動サンシェード付き。さらに15W白色蛍光灯の直接照明、オレンジ色の6W蛍光灯2本の間接照明が装備のひとつだったのも、今では懐かしい。

 搭載エンジンは、当初は3LのV6ガソリンエンジン、2.4Lの4気筒ガソリンエンジンのほか2.8Lと2.5Lの4気筒ディーゼルターボと、この時代らしい余裕の性能を発揮するユニットがラインアップされていた。いずれもノーズ部分にエンジンを収める車両レイアウトにより実現したものでもあった。

* * *

 2007年までのモデルレンジを全うし、後継車の「デリカD:5」にその任をバトンタッチしたのはご存知のとおり。どこかの湖のほとりに佇むカタログ写真を眺めるところからアウトドア気分を味わわせてくれた、RVを代表する1台だった。

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  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 島崎 七生人(SHIMAZAKI Naoto)
  • 1958年生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。クルマをメインに、写真、(カー)オーディオなど、趣味と仕事の境目のないスタンスをとりながら今日に。デザイン領域も関心の対象。それと3代目になる柴犬の飼育もライフワーク。AMWでは、幼少の頃から集めて、捨てられずにとっておいたカタログ(=古い家のときに蔵の床が抜けた)をご紹介する「カタログは語る」などを担当。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
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